【刑事事件・ストーカー事件】元恋人へのストーカーで捜査されている、弁護士に何を頼める?
風俗店の利用中に撮影した動画が、いまもスマホの中に残っている。店から何か言われたわけではないものの、「撮影罪」という言葉を知って不安になった、というご相談は少なくありません。
この問題は、「動画が手元にあること」と「その動画をどのように撮ったか」を分けて考えると整理しやすくなります。先に結論をお伝えすると、自分で見るために保存していること自体よりも、撮影したときの状況が問われることが多い、というのが基本的な考え方です。ただし、相手の年齢や、動画を誰かに渡したかどうかによって扱いは変わります。この記事では、場面ごとに問われうる罪と、スマホに残っていることで起きやすい事態、削除を考える前に知っておきたい点をご説明します。
この記事は、2023年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法(いわゆる撮影罪)と、2025年6月から懲役・禁錮に代わって導入された拘禁刑を前提に記載しています。個別の事案の見通しは、具体的な事情によって異なります。
スマホに動画が残っているだけで罪になるのか
性的姿態撮影等処罰法は、性的な姿態を撮影する行為だけでなく、その記録を人に渡す行為や、渡す目的で持っておく行為も処罰の対象にしています。このうち、風俗店での撮影に関わりやすいものを並べると次のとおりです。
| 罪の名前 | 対象となる行為 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 性的姿態等撮影罪(撮影罪) | 正当な理由なく、ひそかに撮影するなど、法律が定める方法で人の性的姿態等を撮影すること(未遂も処罰) | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金 |
| 性的影像記録提供等罪 | 撮影罪にあたる行為で作られた記録などを人に提供すること | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(不特定又は多数の者への提供や公然陳列は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科) |
| 性的影像記録保管罪 | 提供などをする目的で、その記録を保管すること | 2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金 |
表のとおり、保管罪は「人に渡す目的」がある場合を対象にしています。児童ポルノのように、持っているだけで処罰される単純所持の規定は、この法律には置かれていません。そのため、自分で見返すためだけに保存している動画について、保管していること自体を理由に処罰されるとは、基本的には考えにくいところです。
もっとも、それで安心できるわけではありません。動画がスマホに残っているということは、撮影したという行為の記録が残っているということでもあります。撮影の時点で撮影罪にあたっていれば、その動画は撮影罪の証拠そのものになります。罪の成否を左右するのは、保存していることよりも、撮影したときの状況です。条文の構造は撮影罪は何を禁じているのか|条文の構造を風俗の場面で読むでも解説しています。
問われるかどうかは撮影したときの状況で変わる
女性に気づかれないように撮影した場合
バッグに立てかけたスマホや、置き時計・充電器などに見せかけたカメラで、女性に知られないまま撮影していた場合は、撮影罪の典型である「ひそかに撮影する」行為にあたる可能性が高いと考えられます。風俗店の個室やホテルの客室は人目のない場所ですが、撮影罪は撮影場所を限定していないため、そのことで対象から外れることはありません。
撮影していることは伝えたが、はっきりした同意はなかった場合
スマホを向けていることに女性が気づいていたとしても、それだけで問題がなくなるわけではありません。撮影罪には、相手が拒否の意思を示したり貫いたりするのが難しい状態にあることを利用して撮影する類型も含まれています。サービス中で身動きがとりにくかった、断ると何をされるか分からないと感じていた、飲酒の影響があった、といった事情があれば、この類型にあたるかどうかが検討される可能性があります。「嫌とは言われなかった」というだけでは、同意があったと評価されにくい点に注意が必要です。
オプションなどで同意を得て撮影した場合
店のオプションとして料金を支払い、女性の了解を得たうえで撮影した場合は、一般には「ひそかに撮影する」類型や「拒めない状態を利用する」類型にはあたりにくいと考えられます。
ただし、確認しておきたい点が2つあります。一つは、撮影の際に「自分だけで見る」「誰にも見せない」と伝えていた場合です。撮影罪には、特定の人以外は見ないと相手に誤信させて撮影する類型があり、最初から人に見せたりネットに上げたりするつもりだったのであれば、この類型が問題になります。もう一つは、女性が了解したのは、通常「その場で撮ること」と「撮った本人が見返すこと」の範囲にとどまるという点です。その範囲を超えて動画を人に渡せば、別の問題が生じるおそれがあります。また、店の規約で撮影が禁止されている場合は、刑事とは別に、店から違約金などを求められることもあります。同意を得て撮影した記録を持ち続けることについては、同意を得て撮影した画像を持ち続けている|削除する義務はあるのかもあわせてご覧ください。
2023年7月13日より前に撮影した場合
刑罰の規定は、施行前の行為にさかのぼって適用されないのが原則です。撮影罪の施行前に撮影した動画であれば、撮影罪ではなく、撮影した当時の都道府県の迷惑防止条例や軽犯罪法などで判断されることになります。東京都の迷惑防止条例は、2020年10月の改正で、住居や浴場、更衣室など人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所での盗撮も対象に加えており、風俗店の個室やホテルの客室もこれにあたると考えられています。どの規定が適用されるかは、撮影した時期と場所によって異なります。詳しくは撮影罪と迷惑防止条例はどちらが適用されるか|都道府県による差をご参照ください。
相手が18歳未満だった場合
撮影した相手が18歳未満だった場合は、撮影罪とは別に、児童ポルノ禁止法の問題になります。児童ポルノは、本人の了解があっても撮影による製造が処罰の対象となり、自分で見る目的で持っているだけでも単純所持として処罰の対象になります。店の説明や本人の申告と実際の年齢が違っていた場合の扱いも含め、早めに弁護士にご相談いただきたい場面です。
スマホに残っていることで起きやすいこと
保存していること自体が罪にならない場合でも、動画がスマホに残っていることで、次のような事態が起きることがあります。
- 店や女性に撮影を疑われてスマホの確認を求められた際、動画が見つかればその場で撮影が発覚します。
- 別の件で警察がスマホを押収・解析した際に、無関係と思っていた動画が見つかり、そちらも捜査の対象になることがあります。
- クラウドへの自動バックアップや共有アルバムの設定によって、端末の外にも複製が残っていることがあります。
- 家族や知人がスマホを目にしたことをきっかけに、動画の存在が周囲に知られることがあります。
特に確認しておきたいのは、共有アルバムやメッセージアプリを通じて、動画を誰かに送ったり、見られる状態にしたりしていないかどうかです。撮影罪にあたる行為で作られた記録を他人に渡せば、撮影とは別に提供の問題が生じます。この点は撮影した画像を売った・共有した場合|提供・有償頒布のリスクで、画面を見せただけの場合の考え方は【刑事事件】性的な画像を友人に見せた|性的姿態の提供として問われる場面で解説しています。
また、1本の動画が見つかると、ほかの動画や別の店での撮影についても確認が及ぶことがあります。余罪の扱いについては盗撮の余罪を疑われている|複数事件の見通しと弁護をご覧ください。
動画を消せば問題はなくなるのか
不安になって、すぐにでも動画を削除したいと考える方は多いと思います。ただ、削除によって、撮影したという過去の事実がなくなるわけではありません。端末から消したデータでも、解析によって復元されることがありますし、クラウドに複製が残っていれば、端末側で消しただけでは記録はなくなりません。
あわせて気をつけたいのが、削除のタイミングです。刑法の証拠隠滅罪は他人の刑事事件の証拠を対象としているため、自分の事件の動画を消したこと自体で同罪に問われることはありません。しかし、店に発覚した後や警察から連絡が来た後に削除すると、証拠を隠そうとしたと受け取られ、逮捕や勾留の判断で罪証隠滅のおそれがあると評価される材料になりかねません。撮影を認めて示談を目指す場面では、動画の削除を合意書の条項に入れ、相手に確認してもらう形で進めることも多く、削除の方法と時期は事件の進め方と切り離せません。撮影データを消してしまった|証拠隠滅と復元の実際もあわせてご覧ください。
同意を得て撮影し、誰にも渡していない動画であれば、ご自身の判断で削除することに通常は問題はありません。一方で、撮影したときの状況に心当たりがある場合は、消す前に一度ご相談いただくほうが、後の選択肢を残しやすくなります。
店や警察から連絡が来たとき
店や女性から撮影を指摘された場合
その場でスマホの中身を見せるよう求められたり、高額な金額が書かれた示談書や誓約書への署名を求められたりすることがあります。スマホを見せる法的な義務はありませんが、拒み方によってはその場の対立が深まることもあります。署名や支払いには、その場で応じずに持ち帰って検討するほうが、後の交渉の余地を残しやすくなります。撮影に気づかれた直後の店内対応|その場で求められることと応じる範囲と盗撮でスマホを見せろと言われた|任意提出とロック解除で詳しく解説しています。
警察から連絡が来た場合
警察から事情を聞きたいと連絡があった場合、スマホの任意提出を求められることがあります。提出したスマホは解析され、問題となっている動画以外のデータまで確認されることもあります。応じる前に確認しておきたい点は【刑事事件】警察に「スマホを任意で出してほしい」と言われた|応じる前に確認することにまとめています。なお、性的姿態撮影等処罰法には、押収物に記録された性的な画像について、検察官が消去したり押収物を廃棄したりする手続も設けられています。
撮影罪にあたる行為を認める場合には、撮影された女性との示談が成立しているかどうかが、検察官の処分の判断に影響することがあります。示談では、謝罪や示談金のほか、動画の削除と複製を持たないこと、口外しないことなどを取り決めるのが一般的です。処分の見通しについては認めた場合の処分の見通し|罰金・略式・不起訴の分かれ目をご覧ください。
ご相談の前に整理しておきたいこと
弁護士にご相談いただく際は、次の点を思い出せる範囲で整理しておくと、見通しを立てやすくなります。簡単なメモの形で構いません。
- 撮影した日時と場所、利用した店の種類。
- 撮影を女性が知っていたかどうかと、撮影をめぐって交わした言葉。
- 動画の保存場所(スマホ本体、クラウド、パソコンや外部の記録媒体など)。
- 動画を誰かに送ったり、見せたり、投稿したりしたことの有無。
- 店や女性、警察からの連絡や請求の有無。
まとめ
- 自分で見るためだけに保存している動画について、保管していること自体を理由に処罰されるとは、基本的には考えにくいです。
- ただし、撮影したときの状況によっては撮影罪にあたり、スマホに残った動画がその証拠になります。
- 同意を得た撮影でも、「自分だけで見る」と誤信させていた場合や、動画を人に渡した場合には、別の問題が生じます。
- 相手が18歳未満だった場合は、本人の了解の有無にかかわらず児童ポルノの問題になります。
- 発覚した後や捜査が始まった後の削除は、身柄の判断に影響するおそれがあるため、消す前に一度ご相談ください。
スマホに残った動画の扱いは、撮影したときの状況や、すでに誰かに知られているかどうかによって、取るべき対応が変わります。一人で判断して動く前に、事実関係を整理するところから始めることをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


