【ストーカートラブル】防犯カメラの映像を証拠にする|設置と保存の注意点
本記事は、2026年10月時点の法令(令和7年改正後のストーカー規制法、2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法など)を前提に作成しています。個別の事案での扱いは、具体的な事情によって変わります。
元交際相手や一方的に好意を寄せてきた相手が、SNSの投稿やライブ配信の中であなたのことを悪く言い続けている。名前は出していないものの、共通の知人が見れば誰のことか分かる書き方をしている。こうした被害は、つきまといの一つの形として現れることがあります。
この記事では、ネット上の中傷がストーカー規制法でどう扱われるか、削除を求める方法、警察や弁護士への相談とあわせて進めたいことを順に整理します。
このようなお悩みはありませんか
- 別れた相手が、配信のたびに自分のことを悪く話している。
- 名前は伏せているが、共通の知人には自分だと分かる投稿が続いている。
- ブロックしたら、自分の投稿を引用して批判する投稿が始まった。
- 削除を求めたいが、相手を刺激するのが怖い。
- これがストーカーにあたるのか分からず、警察に相談してよいか迷っている。
ネット上の中傷がストーカー規制法の対象になる場面
ストーカー規制法は、恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことによる恨みの感情を満たす目的で、特定の人やその家族などに一定の行為をすることを「つきまとい等」として規制しています。直接会って付きまとう行為だけでなく、ネット上の行為も含まれます。
中傷との関係で特に関わるのは、名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと(法2条1項7号)です。警察庁の解釈通達では、「知り得る状態に置く」とは、直接伝えなくても相手方が日常生活の中で知ることのできる範囲に届かせることをいうとされ、名誉を害する事項は具体的な事実を示すものに限られないと整理されています。被害者が普段見ているSNSや配信の場で中傷を続ける行為は、これにあたり得ます。
主な行為の形と、関わり得る規定をまとめると次のとおりです。
| 行為の形 | 関わり得る規定 |
|---|---|
| 配信や投稿で、社会的評価を下げる内容を繰り返し発信する | 名誉を害する事項を知り得る状態に置く(2条1項7号) |
| 拒否された後も、被害者のSNSのマイページやコメント欄に書き込みを続ける | 電子メールの送信等(2条1項5号) |
| 性的な画像や、性的に恥ずかしいと感じさせる内容をネットに載せる | 性的羞恥心を害する事項等(2条1項8号) |
| 「どこにいるか知っている」など、見張っていると思わせる投稿をする | 監視していると思わせる事項(2条1項2号) |
ただし、規制法の対象となるには、好意やその裏返しの恨みを満たす目的が必要です。元交際相手や一方的に好意を寄せてきた相手からの中傷は、この目的が認められやすい類型ですが、金銭トラブルや仕事上の対立だけが動機に見える場合は、別の法律での対応を考えることになります。被害者のSNSへの書き込みが規制法の対象になる範囲については、【ストーカートラブル】SNSに毎日コメントされる|ネット上の行為は規制法の対象になるかでも解説しています。
規制法の枠に入らない場合に使える手段
ストーカー規制法の要件にあたらない場合でも、中傷の内容によっては次のような法律上の手段が考えられます。
- 名誉毀損罪(刑法230条)|事実を示して公然と人の社会的評価を下げる行為。
- 侮辱罪(刑法231条)|事実を示さずに公然と人を侮辱する行為。
- プライバシー侵害|住所や勤務先、私生活の事情など、知られたくない情報を公開する行為への民事上の請求。
- 名誉感情の侵害|社会通念上許される限度を超える侮辱的な表現への民事上の請求。
名誉毀損罪と侮辱罪は、告訴がなければ起訴できない罪(親告罪)で、告訴は原則として犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります。一方、ストーカー行為罪は告訴がなくても捜査や起訴ができる罪とされています。どの手段を使うかによって期限や必要な資料が変わるため、早めに整理しておくことが大切です。
ネット配信での中傷に特有の注意点
ライブ配信は、配信が終わるとアーカイブが残らなかったり、配信者が後から非公開にしたりすることがあります。投稿型のSNSに比べて記録が消えやすいことが、配信での中傷の難しさです。
配信中の発言を記録するときは、画面の録画とあわせて、配信のURL、チャンネル名やアカウントID、配信日時、問題の発言が出た時刻をメモしておくと、後から特定の場面を示しやすくなります。視聴者のコメント欄で同調する書き込みが続いている場合は、その画面も残しておきます。録画した映像を自分で公開すると別の問題を生むおそれがあるため、記録は手元で保管するにとどめるのが無難です。
反対に、ご自身が配信者として視聴者から粘着を受けている場合は、【ストーカートラブル】配信者・VTuberへの粘着|ネット上のつきまといへの対応をご覧ください。
削除を求める前に残しておきたい記録
削除が進むと、投稿そのものが見られなくなります。後から経緯を示せるよう、削除を求める前に次の記録を残しておくことが大切です。
- 投稿や配信のURL。
- 投稿者のアカウント名とユーザーID。
- 投稿日時が分かる状態で保存した画面(スクリーンショットや画面録画)。
- 中傷が自分のことを指していると分かる前後の投稿や、共通の知人の反応。
- 交際や接触のこれまでの経緯を時系列でまとめたメモ。
アカウントの表示名は後から変えられるため、ユーザーIDを控えておくと、同じ人物による投稿であることを示しやすくなります。
削除を求める3つの方法
プラットフォームの窓口に申し出る
多くのSNSや配信サービスには、権利侵害の投稿を報告する窓口があります。2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、利用者が多い大規模なプラットフォーム事業者に対し、削除申出の窓口の整備と公表、申出への判断と原則7日以内の通知などが義務付けられました。削除したことを投稿者に知らせる手当てについても、知らせることで二次被害につながるおそれがある場合は例外とする考え方が示されています。制度の詳細は、【男女トラブル】情報流通プラットフォーム対処法で削除依頼はどう変わったのかで解説しています。
弁護士が代理人として削除を求める
窓口への申出で削除されない場合や、どの権利の侵害にあたるかを整理して伝える必要がある場合には、弁護士が代理人として、法的な根拠を示して削除を求める方法があります。投稿者本人に削除を求める場合も、代理人を通すことで、被害者が直接やり取りせずに済みます。
裁判所に仮処分を申し立てる
任意の削除に応じてもらえない場合には、裁判所に削除の仮処分を申し立てる方法があります。通常の訴訟より短い期間で判断が出ることが多い手続ですが、権利が侵害されていることを資料で示す必要があります。
削除とあわせて進めたいこと
警察に相談し、警告や禁止命令を求める
中傷がストーカー規制法の「つきまとい等」にあたる場合、警察に相談し、警告や都道府県公安委員会による禁止命令を求めることができます。令和7年の法改正により、警告は被害者の申出がなくても警察の職権で行えるようになりました。また警察庁の通達では、禁止命令に、送られてきた写真や画像データなどの廃棄を命じる内容を含めることも考えられると示されています。
警察に相談したのに警告が出ないときの考え方は、【ストーカートラブル】警察に相談したのに警告が出ない|次に取れる手段をご覧ください。
匿名アカウントの投稿者を特定する
加害者が匿名アカウントや別アカウントを使っている場合、「あの人のはずだ」という推測だけでは、警察への相談や損害賠償の請求で十分な裏付けにならないことがあります。そのようなときは、プラットフォームやプロバイダに対して発信者情報の開示を求める手続を使い、投稿者を特定することが考えられます。手続の流れは、【ストーカートラブル】相手が誰か分からない|匿名のつきまといで相手をたどる方法と、たどれないときの守り方で解説しています。
損害賠償を求める
中傷によって精神的な苦痛を受けた場合には、慰謝料などの損害賠償を求めることが考えられます。投稿者の特定に要した費用の一部が、損害として認められることもあります。請求の組み立ては、【ストーカートラブル】ストーカー被害の慰謝料|請求できる項目と組み立てで解説しています。
避けたほうがよい対応
中傷が続くと反論したくなるものですが、次のような対応は事態を長引かせるおそれがあります。
- 自分のアカウントで反論や事情説明の投稿をすると、相手の投稿が拡散されたり、言い争いとして受け止められたりすることがあります。
- 加害者に直接削除を求める連絡をすると、接触のきっかけを与え、行為が強まることがあります。
- 投稿者の本名や住所を自分で調べて公開すると、こちらが名誉毀損やプライバシー侵害を問われるおそれがあります。
- 記録を残す前に自分の投稿やアカウントを消すと、経緯を示す資料が失われることがあります。
よくあるご質問
鍵アカウントや限定配信での中傷も対象になりますか
閲覧できる人が限られていても、被害者や共通の知人が見られる状態であれば、名誉毀損やストーカー規制法の対象になり得ます。ただし、誰が見られる状態だったかは、名誉毀損の「公然と」や規制法の「知り得る状態」の判断に関わるため、閲覧できる範囲も記録しておくことが大切です。
投稿が削除された後でも相談できますか
削除後でも、保存した画面や録画、経緯のメモが残っていれば、警察や弁護士への相談に使うことができます。手元に記録がない場合でも、覚えている日時や内容を書き出しておくと、取れる手段を考える材料になります。
削除だけを求めて、警察への相談はしなくてもよいですか
削除の申出は、警察への相談とは別に進めることができます。ただし、身の危険を感じる内容が含まれている場合や、自宅の場所を示す投稿がある場合は、安全の確保を優先し、警察への相談もあわせてご検討ください。住所を書き込まれたときの対応は、【ストーカートラブル】ネットに自宅の住所を書き込まれた|削除とその日の安全確保で解説しています。
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ネット上の中傷でお悩みの方へ
当事務所では、ストーカー被害に関するご相談として、記録の整理、プラットフォームや投稿者への削除の請求、警察への相談に向けた資料の準備、投稿者の特定、損害賠償の請求までを、事案に応じて組み合わせてお手伝いしています。加害者と直接やり取りせずに進めたいというご希望にも、代理人として対応します。
ネット上の中傷は、削除だけで終わる場合もあれば、つきまといの一部として警察の手続や損害賠償と組み合わせて考えたほうがよい場合もあります。記録が残っているうちに、どの手段から動かすかを整理しておくことが、次の一手を選ぶ助けになります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


