【風俗トラブル】メンズエステで胸に触れてしまい、後日警察から連絡が来たらどうなる?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

メンズエステで施術中にセラピストの胸に触れてしまい、その場では大きな問題にならなかったものの、数日から数週間たって警察から電話がかかってきた。このような経緯でご相談をいただくことがあります。「被害届が出たということなのか」「このまま逮捕されるのか」「家族や会社に知られるのか」と、不安が一度に押し寄せる場面です。本記事では、警察から連絡が来た段階で何が起きているのか、どのような罪で検討されるのか、事情聴取までに何をしておけばよいのかを、利用した側の立場から順に整理します。

本記事は、2023年7月施行の改正刑法(不同意わいせつ罪)と、2025年6月施行の拘禁刑への一本化を前提にしています。個別の事情によって見通しは変わりますので、具体的な判断は弁護士にご相談ください。


警察から連絡が来たことは何を意味するのか

 警察から連絡が来たということは、セラピスト本人や店から警察に何らかの申告があり、警察が事実関係を確かめようとしている段階だと考えられます。弁護士ドットコムにも「警察から連絡が来たのは被害届が出たということか」という趣旨の相談が寄せられていますが、申告の形は被害届の提出に限らず、相談として話が持ち込まれている場合もあり、電話の段階では外から見分けられないことが多いといえます。

 一方で、連絡が来たこと自体が、すぐに逮捕されることを意味するわけではありません。逮捕状を取って身柄を確保する方針であれば、事前に電話で日程を調整することはせず、自宅などに直接来ることが多いとされます。電話で「話を聞きたいので来てほしい」と日時の調整を求められている場合は、まずは任意の事情聴取として呼ばれている段階と受け止めてよいでしょう。ただし、聴取の内容やその後の状況によって扱いが変わる可能性は残ります。

胸に触れた行為はどのような罪で検討されるのか

 メンズエステの個室でセラピストの胸に触れた行為について、警察が検討する罪としては、主に次のようなものが考えられます。

罪名根拠法定刑検討の際のポイント
不同意わいせつ罪刑法176条6月以上10年以下の拘禁刑同意しない意思を示すいとまがない状況での接触などが問題になる
迷惑防止条例違反(痴漢行為)東京都迷惑防止条例5条1項6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(常習の場合は加重)「公共の場所」での行為が対象のため、個室での行為に当たるかが問題になる
暴行罪刑法208条2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金または拘留もしくは科料わいせつな行為とまではいえない接触の場合に検討されることがある


不同意わいせつ罪で問題になる点

 2023年の刑法改正により、強制わいせつ罪は不同意わいせつ罪に改められました。暴行や脅迫を用いた場合に限らず、刑法176条1項が定める8つの事由などによって、相手が「同意しない意思」を形成し、表明し、または全うすることが難しい状態で行われたわいせつな行為が処罰の対象になります。

 施術中に突然胸に触れたという場面では、同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがないこと(同項5号)や、予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、または驚愕させること(同項6号)に当たるかが検討されることがあります。服の上からの接触であっても、わいせつな行為に当たると評価される可能性はあります。

より軽い罪で検討される場合

 接触の部位や時間、態様によっては、不同意わいせつ罪ではなく、迷惑防止条例違反や暴行罪として検討されることもあります。どの罪で扱われるかは、セラピストの供述、店の記録、ご本人の説明などを踏まえて捜査機関が判断するもので、電話がかかってきた段階で決まっているわけではありません。

「嫌がっていなかった」という事情はどう扱われるか

 ご相談の中で多いのが、「相手は拒否の言葉を口にしなかった」「むしろ相手のほうから密着してきた」という説明です。こうした事情は、同意の有無を判断するうえで意味を持つ場合がありますが、拒否の言葉がなかったことが、そのまま同意があったことを意味するとは限りません。驚きや戸惑いから声を出せなかった、その場の雰囲気を壊さないよう黙っていた、と受け止められる可能性もあるためです。

 また、多くのメンズエステ店では、利用規約や同意書でセラピストへの接触を禁止しています。規約違反がただちに犯罪になるわけではありませんが、禁止を知りながら触れたという経緯は、同意がなかったことをうかがわせる事情の一つとして扱われることがあります。

 反対に、セラピスト側から性的なサービスを持ちかけられた、触れることを了承する言葉があった、といった事情があれば、予約時のやり取りやその後のメッセージとあわせて、早めに整理しておくことが大切です。記憶は時間とともに曖昧になるため、思い出せる範囲で時系列に書き出しておくと、弁護士と方針を考える際の土台になります。

警察から連絡が来た後の一般的な流れ

 連絡を受けた後の手続は事案ごとに異なりますが、在宅のまま捜査が進む場合は、おおむね次のような流れになります。

  1. 警察から電話があり、事情聴取の日時を調整します。
  2. 警察署で事情聴取を受け、供述調書が作成されます。
  3. 必要に応じて、現場の確認や携帯電話の任意提出などを求められます。
  4. 捜査が終わると、事件が検察庁に送られます(いわゆる書類送検)。
  5. 検察官から呼び出しを受けたうえで、起訴・不起訴の処分が決まります。


 住所や勤務先が明らかで、呼び出しに応じて出頭している場合には、逮捕されずに在宅のまま進むことも少なくありません。一方で、呼び出しに応じない、セラピストや店に接触しようとする、といった事情があると、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕に切り替わる可能性があります。在宅事件と身柄事件の違いについては、在宅事件と身柄事件の違い|風俗トラブルで逮捕を避けるための弁護活動で詳しく解説しています。

電話を受けてから事情聴取までにしておきたいこと


用件と担当者を確認する

 警察からの電話では、所属する警察署と担当者の氏名、どの件についての連絡か、いつ出向けばよいかを確認しておきましょう。電話口で詳しい事情を話す必要はありません。指定された日時に都合がつかない場合は、日程の調整を申し出ることもできます。調整の考え方は警察からの呼出しの日程は調整できるのか|仕事との両立でまとめています。

セラピストや店に直接連絡しない

 謝罪したい、事情を説明したいという気持ちから、セラピストや店に直接連絡を取ろうとする方もいます。しかし、警察が動いている段階で当事者が直接連絡すると、被害者への働きかけと受け止められ、かえって不利な事情になるおそれがあります。店から連絡が来た場合も、その場で金銭の支払いや書面への署名に応じることは避け、届いた内容を記録しておくのが無難です。

事情聴取の前に弁護士に相談する

 事情聴取で話した内容は供述調書にまとめられ、その後の処分の判断材料になります。どの点は事実として認め、どの点は記憶と違うと伝えるのかを、聴取の前に整理しておくことが大切です。弁護士に相談すれば、事案の見通しや聴取での注意点について、具体的な事情を踏まえた助言を受けられます。詳しくは【刑事事件】警察から電話が来た段階で弁護士に相談する意味をご覧ください。

事情聴取で気をつけたいこと

 任意の事情聴取であっても、取調べの際には黙秘権があることが告げられます(刑事訴訟法198条2項)。話したくないことを無理に話す必要はありませんが、黙秘を選ぶかどうかは事案によって得失が分かれるため、事前に弁護士と方針を決めておくのが望ましいでしょう。

 供述調書は、取調べの最後に読み聞かせや閲覧の機会があり、内容に誤りがあれば訂正を求めることができます(同条4項)。納得できない内容のまま署名・押印する必要はなく、署名・押印を拒むこともできます(同条5項)。「だいたい合っているから」と細部の違いを見過ごすと、後から説明を変えることが難しくなるため、一文ずつ確認することが大切です。

 覚えていないことを推測で補って話すと、後の説明との食い違いにつながるおそれがあります。記憶がはっきりしない点は、その旨をそのまま伝えるようにしましょう。

示談がその後の処分に与える影響

 不同意わいせつ罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる罪です。そのため、示談が成立したからといって必ず不起訴になるわけではありませんが、被害者との間で示談が成立し、宥恕(許すという意思表示)が得られていることは、検察官が処分を決めるうえで重視される事情の一つです。

 ただし、警察や検察は、加害者とされる方本人には被害者の連絡先を教えないのが通常です。弁護士が間に入る場合には、被害者の了解を得たうえで、弁護士に限って連絡先が伝えられることがあり、示談交渉はこの経路で進めることになります。当事務所でも、メンズエステでの身体接触について警察の事情聴取を受けた後、示談が成立し不起訴処分となった事例を【解決事例】メンズエステでの身体接触で警察の事情聴取|示談成立により不起訴処分となった事例で紹介しています。

 店から別途、違約金や「罰金」といった名目で請求を受けている場合は、刑事手続上の示談とは分けて考える必要があります。誰との間で何を取り決めるのかを整理しないまま支払うと、セラピスト本人との示談が別に残ってしまうこともあります。示談の進め方と時期については、示談を始めるタイミング|被害届前・受理後・起訴前で何が違うかもご参照ください。

家族や勤務先に知られることはあるか

 在宅のまま捜査が進む場合、警察からの連絡はご本人の携帯電話にかかってくることが多く、警察が家族や勤務先に事件の内容を知らせることは一般的ではありません。ただし、事情聴取のために平日に時間を確保する必要があることや、逮捕された場合には欠勤が続くことなどから、結果として周囲に知られるきっかけが生じることはあります。

 ご家族への説明や勤務先への対応をどうするかは、事案の見通しによって変わります。一人で抱え込まず、早めに相談先を確保しておくことが、生活への影響を小さくすることにつながります。

よくあるご質問


警察から連絡が来てから、どのくらいで処分が決まりますか

 在宅事件の場合、事情聴取から書類送検を経て検察官が処分を決めるまでには、数か月程度かかることが珍しくありません。その間に追加の聴取や確認が入ることもあります。目安については書類送検されてから処分が決まるまでの期間で解説しています。

服の上から触れただけでも罪になりますか

 服の上からの接触であっても、部位や態様によっては、わいせつな行為に当たると評価される可能性があります。判断の考え方は服の上から触れた|わいせつな行為の範囲はどこまでかをご覧ください。

店に示談金を払えば、警察の捜査は止まりますか

 すでに警察が捜査を始めている場合、店に金銭を支払ったことだけで捜査が終わるとは限りません。支払いの相手、支払う名目、被害届の扱いなどを書面で明確にしておかないと、後から別の請求を受けることもあります。

関連する解説記事



警察から連絡が来たら、事情聴取の前にご相談ください

 メンズエステで胸に触れてしまい、後日警察から連絡が来た場合でも、その時点で処分の結論が決まっているわけではありません。事情聴取までの間に経緯を整理し、セラピストや店への対応を誤らず、必要に応じて弁護士を通じた示談を検討することで、取り得る選択肢を残すことができます。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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