マナーうんちく話2212《酒の基礎知識と日本人と日本酒との深い関り》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

先日久しぶりに昔の職場の仲間と居酒屋で酒席を楽しみました。
はるか昔、大学の新入生歓迎コンパで「どんぶり酒」を先輩たちから振舞われた経験があります。
以後結構飲み会(コンパ)を経験しましたが、当時は一升瓶で湯呑茶碗やコップに注いだり、注がれたりすることが多かった気がします。
社会人になるとさすがそれはなくなりましたが、ホテルの料飲食部門で長い間働いたおかげで、様々な酒の席を経験しました。
今回は改めて酒の知識や日本酒と日本人の関りに触れてみます。

●食事をさらに楽しくする酒の基礎知識
酒は大きく分けて「製法による分類」と「飲酒シーンによる分類」があります。
《製法上の分類》
〇醸造酒⇒穀物を原料にした醸造酒には酒やビールがあります。またワインは果実が原料です。
〇蒸留酒⇒穀物を原料にした蒸留酒には焼酎、ウイスキー、ジン、ウオッカなどがありますが、ブランディーは果実を原料とした蒸留酒です。
〇混成酒⇒醸造酒や蒸留酒をもとにしてつくられる混成酒には、醸造酒を原料としたヴェルモット類や蒸留酒を原料としたリキュール類があります。

《飲酒シーンによる分類》
酒は主に食事とともに飲むことが多いので、食事の前に飲む「食前酒」、食事とともに飲む「食中酒」、食事の後に飲む「食後酒」に分類することがあります。
特にフランス料理の席では多く見られます。
〇食前酒⇒胃の粘膜を刺激し食欲増進効果のある飲み物で、シャンパン(スパークリングワイン)が有名ですが、同時に軽いタイプの白ワインやロゼワインなどとともに、食中酒としても楽しめます。シェリー酒やマティーニなどのカクテルも有名ですが、あくまで食事をおいしく頂くためですから少量がお勧めです。
〇食後酒⇒食前酒がフランス語では「アペリティフ」と呼ばれるのに対し、食後酒は「ディジェスティフ」と呼び、ブランディ―やリキュール類が有名です。アルコール度が比較的高く、甘口が特徴です。値段は張りますがブランディーはフランスのコニャックとアルマニャックは有名です。

●これくらいは知っておきたい日本酒の知識と文化
〇日本酒の分類
日本酒は米を原料とする「醸造酒」ですが、精米歩合や醸造の方法によって「本醸造酒」「純米酒」「吟醸酒」「生酒」に区分されています。

〇日本酒は神様と人を繋ぐ神聖な飲み物
ところで日本の文化や作法は稲作や神道と非常に深い関りがありますが、日本酒はまさにその典型的な例だと思います。
古来日本では神事を執り行う際には神様にお酒をお供えし、神事が終わればそれを下げ、参加者全員で頂き、神様とより繋がりを深め、より多くの願い事を聞いていただいたわけです。
今でも日本酒が神様と人を繋ぐ重要な役目をするシーンは、いたるところで見られます。

〇日本酒の歴史と文化
縄文時代にはすでに稲作が行われていたといわれていますが、酒も縄文の時代には作られていたという説があります。
そして奈良時代になると米と麹を用いた酒が特権階級の人たちに飲まれており、さらに「造り酒屋」が誕生するようになって庶民に広がり、江戸時代になると今とほとんど同じような酒が流通するようになったといわれています。
こうなると、酒にまつわる様々な文化が誕生してくるわけですね。
また日本人ならではの酒に関する美意識もあり、江戸時代になると酒の付き合い方を解説した「酒の付き合い読本」のような本がお目見えするようになってきました。

〇酒器の誕生
時代劇などでよく見かける酒のシーンですが、はるか昔はやや大きめな土器(かわらけ)が多く用いられています。おそらく昔の酒造りは今と比べて未熟ですから、アルコール度数も低く、かなりの量を飲まなければ酔わなかったのでしょう。
そして醸造技術の発達とともにアルコール度数の高い酒が出回るようになると、使用する器も小ぶりになり、徳利や銚子などが登場するようになってきたようです。
次回は徳利や「お酌」の文化や作法などに触れてみます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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