マナーうんちく話2063《お辞儀をするときには腕を前で重ねるの?「品の良いお辞儀」とは?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

2000年頃からでしょうか?
仕事を通じ大変気になったことが二つあります。

国民の圧倒的多数の人が神道と仏教を信仰し、キリスト教徒は1%から2%の日本で、「キリスト教スタイルの挙式」が大幅に増加したことと、今回のテーマである、日本人の「お辞儀」のスタイルが変化してきたことです。

いつ、誰が決めたか、定めたか?
お辞儀をするときに、前で腕を重ねる人が目立つようになり、今はそれが主流になっているようで、多くの職場でも見受けられますね。

へその周りで手を重ね、肘を張ったお辞儀です。

また多くのマナー教本にもそのスタイルが多くなっているような気がします。

挨拶には「こうしなくてはいけない」という決まりはありません。
また不易流行的側面を有しているので、時代とともに変わることもあります。

前で腕を組むスタイルが主流になれば、それもよしと思うのですが・・・。
また職場で挨拶のスタイルを決めている場合はそれに従えばいいでしょう。

ただ私は研修会や講演会では、戦前の尋常高等小学校や高等女学校の「作法」の時間に教えていたスタイルをお勧めしています。
それが最も美しく、理にかなっていると思っているからです。

昔の話で恐縮ですが、私の学校時代には「気お付け⇒礼⇒直れ⇒休め」の号令がありました。
授業の始まるときは「起立⇒気お付け⇒礼⇒着席」だったと思います。

いずれにせよ「気お付け」で、つま先は自然に開き、あごを引きます。
指先は伸ばし、指は中指をズボンの縫い目に合わせ、背筋を伸ばします。
口は閉じます。

この直立不動の姿勢で礼をすると大変美しいお辞儀になります。

「礼」の姿勢で頭を下げますが、このとき下した手は、脇か膝の上になります。

前で手を重ねるのは「待機」の時か、「休め」の時になります。
ちなみに「休め」の状態で礼をする作法は存在しないと思います。


お辞儀は相手に対する敬意や感謝やお詫びやお願いの気持ちを伝える動作で、元は中国の礼法をまねたものだといわれています。

つまり相手に対して敵意がないことや無防備を強調したものですが、それが平和な国日本ならではのスタイルに変化して、用途により使い分けられるようになったわけです。

また庶民にお辞儀が浸透したのは江戸時代になってからで、金持ちの商人などが武家に行儀見習いに上がるようになってからだといわれています。

今は「起立⇒気お付け⇒礼⇒着席」の号令は、昔の軍隊式のようで、教育上良くないので取りやめになったようですが、もったいない限りです。

軍隊式がだめなら制服も、歩き方もすべて直さなくてはいけないでしょう。

そもそも軍隊にとりいれられたということは、いろいろな面で効果が期待されるからで、戦争に有利なためではないはずです。
従って教育に積極的に取り入れることはとてもいいことだと思うのですが・・・。

「気お付け、礼!の挨拶」は、育ち盛りの子が背筋を伸ばし姿勢が良くなります。
加えて規律や礼儀正しさの教育にもなります。

つまり姿勢の良いお辞儀は色々な面でいいことづくめで、中止にする理由はどこにもないと考えます。

このような時期にオリパラを強硬開催し、運動会、修学旅行、クラブ活動、祭りなどを中止しするほうが教育上は好ましくないと思いますが、如何でしょうか。

挨拶にせよ、お辞儀にせよ、マナーは自分を格好よく見せるものではなく、相手目線でとらえることが大切です。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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