マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
薫風南より来る!
ゴールデンウイークで始まる5月は、陽気が続き、一年で最も過ごしやすい季節です。
風の香りを感じ、新緑を愛で、さわやかな気分に浸れば、若さが蘇ってくるかもしれませんね。
ちなみに「薫風」とは、ちょうど今頃の季節に新緑の間を吹き抜ける心地よい風ですが、大正から昭和にかけて活躍した、詩人で作家の萩原朔太郎の名言に《5月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする》があります。
日本国内なら、初夏の朝の風は、どこの地域でも清々しいと思いますが、特に「貴族」という言葉は格別な思いを感じます。
常に毅然とし、礼儀正しく、何事にも動じない、そんな人間性が思い浮かびますが如何でしょうか。
地位や名誉、財産、そして教養や品格が備われば、そんな立ち居振る舞いができるようになるのでしょうか・・・。
しかし今の日本で、そのような人はあまり思いつきません。
金持ちや社会的地位が高い人は多々いますが、それに品格が伴うとなれば難しいですね・・・。
いずれにせよ、日ごとに初夏の気配が漂い始め、瑞々しい若葉が野山に目立つようになる「風薫る5月」は、人を貴族にする不思議な力があるかもしれませんね。
ところで国土の7割以上を山林が占め、四季が明確に分かれている日本では、春先になって花が咲き新緑が萌え出でる頃は「山笑う」と表現されましたが、鮮やかな緑に染まる夏の山は「山滴る」といいます。
これからしばらくは緑のグラデーションを楽しんでくださいね。
そして野山の自然に触れ、清々しい空気をいっぱい吸い込み、前向きに歩みたいものです。
以前「マナーうんちく話」でも触れましたが「五風十雨」という言葉があります。
「春は嵐とともにやってくる」といわれるように、春は強風の日が多いわけですが、この時期になると落ち着き、5日に一度風が吹き、10日に一度雨が降るという意味です。
農耕に適した気候で、豊作の兆しとされるわけです。
私もトマト、キュウリ、ナス、ピーマン、オクラ、トウモロコシ、カボチャ、ウリなどの夏野菜の苗を植えたところですが、ただ霜には注意が必要です。
八十八夜は春から夏への移行期で天候も比較的落ち着く頃ですが、急に気温が下がって霜が降りる時があります。
暖かくなって忘れた頃に霜がふれば、育ったばかりの野菜に大きな被害が出ます。八十八夜の頃に降るので「八十八夜の忘れ霜」と言いますが、私も何回も経験しました。
何事も油断大敵!を説く自然からのメッセージと受け止め、今年は天気予報にしっかり耳を傾け早めの対策を心がけるつもりです。
一方、戦乱や疫病などのため、社会が乱れ、先の見通しが立たない時代を「黒風白雨(こくふうはくう)」と表現します。
コロナ禍の今年は五風十雨より、この言葉のほうがマッチしそうですね。
5月5日は二十四節気の一つ「端午の節句」ですが「菖蒲の節句」ともいわれます。
この時期になると夏の日差しが強くなり、高温になるので例年病人が増加します。
そこで先人はショウブやヨモギで邪気払いをしたわけですが、同時に蒸し暑い夏に備えて、疫病を払うための祭りを執り行います。
今年は新型コロナ蔓延のため数々のイベントが中止になったり、延期されたりで寂しくなりますが、ワクチンがいきわたるまでの辛抱が大切だと思います。
しかし瑞々しい気分で、心地よい生活が謳歌できる季節に違いありません・
出来る範囲で、自分流に快適な季節を楽しんでいただければと思います。