マナーうんちく話509≪「女しぐさ」と「男しぐさ」≫
女性87,45歳、男性81,41歳。
先ほど発表された日本人の「平均寿命」ですが、ともに過去最高を更新しており、8年連続の更新です。
医療技術の進歩に加え、健康意識の高まりもあり、今後も緩やかに伸びると予測されています。ちなみに「健康寿命」は女性74,79歳、男性72,14歳で、平均寿命にどれだけ近づけるかが今後の課題です。
ところで「人生100歳時代」といわれて久しくなりますが、統計を取り始めた1963年には、日本で100歳まで生きた人は153人です。それが81年には1000人を超え、98年には10000人を超え、2019年には71274人になっています。
実に49年連続して増加し続けており、ある研究では2007年に生まれた子は、二人に一人は100歳まで生きると予測されています。
まさに「人生100歳時代」ですね。
では、この長い人生をどのように生きるか?
指南書がいろいろ出回っていますが、それはさておきここでは、多くの日本人に愛され、親しまれてきた二人の高僧の生き方を参考にしたいと思います。
先ずは室町時代の臨済宗の僧で、3大頓智者の一人「一休さん」です。
絵本や紙芝居の題材などで、日本人ならほとんどの人が知っていますが、天皇の皇子でありながらお寺の小僧として修業し、各地を転々として仏道を広めています。
権力や形式や規律を嫌い、僧でありながら女性を愛し、酒を愛して、自由奔放な人生を送っていますが、禅宗から浄土真宗に改宗しています。
人間誰でも悩みや苦しみはあります。私たちの苦悩の根源はなにか?どうすれば苦悩の根源を断ち切り幸福になるのか?仏教の神髄を解いたといわれています。
「橋を渡るべからず」の看板に対して、「端を渡らず真ん中を渡った」とか、「衝立に描かれている寅を縛ることができるか?」の問いに対して、「縛って見せるからまず寅を絵から追い出して」と答えるなど、その頭の良さは今でも人気ですね。
次に江戸後期の僧侶であり、歌人であり、書家でもある「良寛さん」です。
名主の家に生まれたにもかかわらず、曹洞宗の托鉢僧になり、生涯寺を構えず、妻子も持たず、無一文に徹して、清貧の思想を貫いたことで有名です。
多くのエピソードのある人ですが、いずれも心が温まるものばかりで、その優しさがどこから来ているのか?興味がわくところです。
また「愛語」の文章が好きで、特に慈悲の心、優しい、愛するという言葉を多く使用し、乱暴な言葉や憎む言葉は使わなかったとか・・・。
さらに難しい説法ではなく、誰にでもわかりやすい言葉で仏法を説いて、多くの人に愛され、親しまれたといわれています。
この二人の生き方で共通していることは、地位や名誉や物欲にこだわることなく、世のため、人のために生きたということでしょう。
だから優れた能力を持った高僧でありながら、あえて「さん」で呼ばれています。
家柄もよく、教養もありながら、質素な服を着て、粗食に耐え、しかも広い心で優しく接したので、多くの人の共感を呼び、信頼を得たのだと思います。
しかも平均寿命が30歳代から40歳ではなかろうかと思われる時代に、一休さんは88歳、良寛さんは74歳まで生きています。
衣食住も、医療技術も、今とは比較にならない時代に、これだけ長生きができたのは、僧侶としての知識や生活習慣が功を奏したのかもしれませんね・・・。
しかし何よりも大きな理由は、常に多くの人から愛され、親しまれ、好かれたからで、これは「人生100歳時代」を豊かに生きる大きなヒントではないでしょうか。
政治家の中にも、このような人が一人くらいいてもいいのではと思ったりします。