マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
新年おめでとうございます
昨年は素敵なご縁を沢山いただきありがとうございました
今年もよろしくお願いいたします
令和最初の正月を迎え、気持ちを新たにされた方も多いと思います。
日本は世界屈指の長い歴史があり、四季が豊富で、一年を通じ多くの年中行事が存在しますが、中でも「正月」は日本人にとって最もなじみが深い行事です。
五穀豊穣、家内安全、子孫繁栄など幸せをもたらして下さる《年神様》をお迎えし、おもてなしして、お見送りする一連の行事が正月ですから頷けますね。
そして正月に大変ふさわしい《一年の計は元旦にあり》という言葉があります。
昔から脈々と伝えられてきた、日本人にぴったりの言葉で、知らない人はいないほど有名ですが、ではその言葉の真意はどこにあるのでしょうか?
「新年の目標や計画は、一年のスタートになる元旦に立てるように」という意味と、「何かを新たに始める時には、きちんと計画を立てなさい」という意味が込められており、総じて「新年を迎えたら、その年にすることを、元旦にきちんと計画を立て実行する」ことで、その年が充実するという解釈ですね・・・。
この言葉、いつ頃に、誰が説いたかといえば諸説あるようです。
中国の明の時代(1368年―1644年)に書かれた、年中行事、しきたり、儀式などを解説した「月令広義(げつれいこうぎ)」の一節に由来するという説があります。
一方、武勇と知略を備え、今でも多くの日本人に親しまれている、戦国の武将毛利元就(もとなり)の言葉が由来になったという説もあります。
一年の計は春にあり
一月の計は朔日(ついたち)にあり
一日の計は鶏鳴(けいめい)にあり
という言葉で、今から約500年位前です。
当時は旧暦ですから、旧暦の正月は「立春」で「春」になります。
またその月の一番初めの日は「朔(さく)」で、「朔日」は「ついたち」ともいいますね。さらに「鶏鳴」とは鶏は早朝に泣くので朝を意味します。
大昔から鶏は朝を告げる鳥としてとても尊ばれてきた鳥で、七十二侯の締めくくりは「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」です。
元就の言葉は「一年の計画は正月に、その月の計画は一日に、今日の計画は朝に立てる」という意味ですが、これだけでは言葉に重みが感じられません。
戦国時代を代表する武将が本当に伝えたかったのは「正月、朔日、朝に計画を立てるだけではなく、着実に立てた計画を実行していくことが大切だ」と説いています。
加えて毛利元就が3人の息子に伝えた「3本の矢」の逸話も有名ですね。
一本の矢は簡単に折れるが、3本纏めれば簡単に折れない。だから3人が仲良くするようにと告げ、結束の大切さを説いた言葉として今でもよく使われます。
さらに詳しく解釈すると、月令広義では「一年の計は元旦にたて、人生はまじめに働き、家族の未来は健康で過ごすことで決まる」と説いています。
元就は「正月は屠蘇を頂き、恵方を拝み、子孫繁栄や長寿を祈願して浮かれるほど陽気なものではなく、一年の在り方をしっかり考える時だ」と諭しています。
ちなみに旧暦で1月は「睦月」と言います。
男も女も、高齢者も若者も皆仲睦ましく暮らそうよ!という意味です。
幸福に関する研究でも「周囲との良好な人間関係が何より大切」とされていますが、令和の時代をハッピーに過ごすための計画は「最初が肝心」ということを肝に銘じ、仲睦まじく、健康で、勤勉で過ごしたいものですね。
皆様方にとって、幸多い年になりますように・・・。
祈念!ご多幸。