マナーうんちく話459≪手土産の渡し方①「玄関先」≫
ゴールデンウイークを控え旅行を予定されている人は多いと思います。
ある調査では日本人の約16%の人がゴールデンウイークを利用して国内外に旅行するそうですが、今年は10連休ということで、民族大移動はしばらく続きそうですね。
ただ喜んでいる人ばかりではないようですが・・・。
ところで旅行といえばお土産ですが、訪れた土地の食べ物や名物を買い求め、知人・友人・ご近所・世話になった人に配る日本のごくありふれたしきたりです。
古来日本には「みやげ」の文化があります。
今では他家や他社を訪ねる時に持参する手土産と、知人・友人・世話になった人に配る目的で、旅先などで買い求めるその土地にちなむものが一般的です。
非常に長い歴史を有する日本には年中行事やしきたりが多く存在します。
そしてその多くは神道や仏教と大変密接な関係を有しています。
日本のお土産の由来もしかりです。
他家や他社を訪問する際持参する手土産の起源は「歳神様」へのお供え物です。
正月には歳神様が里帰りするわけですが、その際、歳神様をお迎えして祀る習慣がありました。
だから正月の年始の挨拶に訪問するときには、年神様を祭る神棚に「お歳玉(お歳魂)」として供えたわけです。
それがやがて手土産を持参するという形になったといわれています。
ちなみに現代では年始の挨拶に持参する手土産は、子どもにたいしては「お年玉」、おとなには「お年賀」と表書きして渡すのが一般的です。
なお改まった訪問の際の手土産は、紙袋よりは「風呂敷」に包むのがお勧めです。
風呂敷の方がより丁寧な印象を受けますが、風呂敷は扇子と同じで日本発祥の文化で、品物を布で包む習慣は既に奈良時代には存在したといわれています。
なお「風呂敷」という名前は、室町時代に風呂で使用された布が由来になっているようです。
なぜ風呂で?と思われる方も多いと思います。
旅行で温泉に行く人も多いと思いますが、とにかく日本人は昔から風呂が好きで、温泉が好きです。
日本人の清潔好きはここからきているかもしれませんね。
以前おもてなしのコラムを特集しましたが、実は日本では昔から「風呂に招待することが最高のもてなし」であったようです。
平安時代には湯屋があり、鎌倉時代、室町時代にはさらに発展し、足利義道は「花の御所」と呼ばれた大邸宅に「大湯殿」を作って、多くの大名を招待して、風呂やご馳走でもてなしたといわれています。
今でも旅先の旅館でまず温泉につかり、その後ビールとご馳走というのが定番で、社交儀礼になっていますね。
その風呂に入る時に脱いだ衣服を、布で包むものが「風呂敷」の語源になったとか。
つまり風呂敷は、品物を汚れから守る役目があるわけです・
だから品物を渡す際には、汚れのついた風呂敷から取り出し、品物だけを渡すのがいいでしょう。この理屈は紙袋も同様です。
加えて渡すタイミングは、部屋に通されて、キチンと挨拶を済ましてからです。