マナーうんちく話22≪「客」になった時のマナー≫
平成最後の弥生3月もあとわずか。
花冷えが続きましたが今まさに草木の新芽が萌えだし、小鳥がさえずり、赤や青や黄色の花が咲き始め、生命が躍動を始める季節です。
春が来て気持ちが前向きになり、何かいいことがありそうな気分になることを「春興(しゅんきょう)」といいますが、入学、入社、昇進や新たな挑戦に意欲を燃やしている人も多いと思います。
ところで現代の生活において時計は必要不可欠ですが、その時計。
常に正確ですか?それとも若干針を進めていますか?あるいは遅らしていますか?いかがでしょうか・・・。
利休はもてなしの心得の中で「刻限は早めに」と説いています。
約束の時間を守るということは古今東西大切なことです。
従って何か約束事をしたら当然早めの行動は大切で、昔の人も恐らくそうだったと思います。
江戸しぐさの一つに「時泥棒」があります。
現代人もしかりですが、江戸時代の人も人付き合いの上で「相手に対する思い」を非常に大切にしました。
特に時間はおカネやモノと同じように大切にしたようです。
今のように精巧な時計のない時代、殿様のように特別な立場の人は別として、一般の武士も承認は正確な時計はもっていません。
そのような時代に「時泥棒」という概念があったことは素晴らしいと思います。
理由は「お金は借りたら返すことができる」が、過ぎ去った時間は取り返すことができないからです。
つまり時間は弁済不能だから、時間で相手に迷惑をかけることは大罪であったといわれています。
現在の時と場合と場所を選ばずかかってくる携帯電話もそうでしょう。
特に押し売りのようなアポなし電話は困ったものですね。
時間は大切で、約束したら早めの行動も必要ですが「刻限は早めに」ということは単にそれだけではありません。
いつも心に「ゆとり」を持って行動することが大切であり、それがひいては相手に対する「思いやり」になるということです。
常に時間にゆとりを持てば焦ることが無くなり心にゆとりが生じます。
ゆとりがあれば「もてなし」の心が生まれるということです。
そして「ゆとり」は自分自身の心掛け次第です。
自分の「心の中の時計の針」を、少し早めておくのもお勧めです。