まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
ひな人形は早く飾り早く仕舞うのがポイントです。
時期的には立春を過ぎたころ、あるいは二十四節気の「雨水」に飾る地域もあるようです。
そしてひな祭が終わればできる限り早く仕舞います。
女の子が「片づけ上手になる」ことを教えるとともに、いつまでも祭り気分に浸るのではなく、けじめをつけることを諭しています。
またひな人形をいつまでも飾っておくと、娘の婚期が遅れると昔は言われていましたが、現在は結婚観が大きく変わりましたね。
またひな祭に供される「お膳」にも、春の訪れを喜ぶ気持ちや、娘の成長を祈る気持ちが沢山込められています。
桃はもともと邪気を払うパワーがあるといわれていますが、菱餅の白は残雪と清浄を意味し、緑はヨモギの色で春の芽吹きと邪気払い、桃色は花と魔除けを表現しているといわれています。
春になって、雪が解けて、緑の芽が芽吹き、やがて花が咲くわけです。
40年位前にはやった「春一番」という曲に「雪が解けて川になり流れていきます・・・」という歌詞がありましたが、なんとなく似たような光景に思えます。
加えて「白酒」も雛祭の大切なお供え物ですが、身体を清めて邪気を払う効果があるといわれています。
彩の美しい「チラシ寿し」もひな祭の定番ですが、ハマグリの吸い物が付きます。
ハマグリはいったん上の貝と下の貝が離れたら、もとの貝でないとぴったりと合いません。
だから女性の貞操を教えているといわれています。
夫婦円満の願いも込められています。
今は少なくなりましたが、結納の食事や婚礼のご馳走にもハマグリはメニュの中に登場することは多々あります。
ところで「年中行事のしきたりやマナー講座」でしばし質問を受けますが、ひな人形は姉の時に買ったものを、妹にそのまま使用してもいいか?どうか?
最初に「流し雛」の由来に触れたように、ひな人形は女の子のお守り的な存在ですから、できれば一人一人に用意していただければと思います。
姉専用と妹専用の人形があればいいですね。
もともと日本は昔から、子どもの健やかな成長を願い祝う行事は非常に多い国です。
それだけ子どものことを大事にしてきた国だと思います。
ひな祭に関する「初節句」もそうですね。
この世に生を受けて初めて迎える節供が「初節句」で、女の子は3月3日の「上巳の節句(桃の節句)」にひな人形を飾ってお祝いします。
男の子は端午の節句(菖蒲の節句)」に兜や5月人形を飾って祝います。
ひな人形や5月人形には、子どもの健やかな成長の願いが込められています。
加えて3月3日、5月5日と奇数の日に催されるということは、陰陽思想に由来します。奇数は縁起がいい数字とされたからです。
だから単に豪華さを競うのではなく、ひな祭の様々ないわれを正しく理解し、子どもにもきちんと伝えてあげることが大切だと考えます。
子どものいじめや虐待など痛ましい事件が後を絶ちません。
事件が起きるたびに会見が開かれますが、どれも頷けません。
上巳の節句も端午の節句も「ハレ」の日です。
可愛い子どものために、できる限り多くの人が集い、お祝いしてあげたいものですね。また愛情をしっかり注ぐとともに、こどもに安心感を与えて下さい。
そしてできることなら、子供とともにご馳走を頂きながら、一つ一つに込められた由来を教えてあげて下さい。
私はフランス料理のテーブルマナーは30年以上、和食は20年以上行っていますが、特に家庭においてハレの日の行事には「祝い箸」とともに「ハレの日専用の皿」などを用意して、みんなで楽しく祝い、由来を教えてあげて下さいとお願いしています。
その思いは子どもにも通じるはずです。
ひな人形は年々豪華になるけど、未婚化率や非婚化率は高まっています。
熟年離婚も減少傾向には至ってないようです。
10人10色の生き方があってしかりですが、時代の流れでしょうか・・・。