マナーうんちく話509≪「女しぐさ」と「男しぐさ」≫
「農作物がうまく育ちますように!」との祈りはとても大切なしきたりですが、それにより豊作になれば、今度は感謝の気持ちを表現するようになります。
「生きることは食べること」で、それに直結する農業は自然との付き合いですから、自然に宿る神様に祈り、五穀豊穣を祈念し、感謝することはとても大切な行事だったわけですね。
加えて家族の健康や子孫繁栄もしかりです。
やがて自然のみならず「祖霊信仰」も生まれ、祈りの対象も増えてきます。
正月、盆、彼岸のしきたり等はその典型的なものでしょう。
日本の信仰はこのような経緯で自然発生的に生まれたわけですが、6世紀になると仏教が伝来し、時の政権はこれを広めるために全国各地に寺を作り、多くの人民の生活様式の中り入っていきました。
一方自然発生的な神道にも相変わらず力がそそがれ、神社も数多く建立されます。
このようにして、神道と仏教を上手に組み合わせた日本独自の宗教観が生まれ、これにより数々の「しきたり」が増えてきたわけです。
そして多少乱暴な分類になりますが、今では大きく分けて「生に関係すること」や「慶事」は神道、「死に関すること」や「弔事」は仏教という具合に分かれていますね。
さらに時代の流れとともに形を変えていき、結婚式にキリスト教スタイルが加味されてきています。
明治になり西洋の文化が流入し、やがて大戦を経験したこともあって、国家神道は姿を消すとともに、しきたりが以前ほど重要視されなくなりました。
利便性や合理性が重んじられ、科学的に物事が捉えられるようになったおかげで、不必要に過去の「しきたり」に捉われなくなることは良いことですが、そこに込められた意義や意味、先人の思いまでがすべて忘れ去られるのはもったいない限りです。
また、何百年も何千年も脈々と伝わってきた「しきたり」に、商業主義が大きくのしかかり、本来の意味や意義が薄れていくのも考えものです。
豪華さを競う以前に、しきたりの意味を正しく理解していただきたいものです。
最後にしきたりには不易流行性があり、時代の流れとともに変化する側面もあれば、いくら時代が変わろうと変えてはならない側面もあります。
しきたりの意義が変わってはもはや意味はないでしょう。
1月27日(日)午後1時より3時まで、和気町尺所「和気町中央公民館」(JR山陽本線和気駅より徒歩約5分)で《年中行事のしきたりとマナー(早春から初夏編)」講座》を、「ハッピーライフ創造塾」主催で開催します。
茶菓、資料込みで500円の参加費です。
「節分」「豆まき」「恵方巻」「桃の節句」「お彼岸」「花見」「端午の節句」「田植え」「茶摘み」などに加え、「和風月名」「二十四節気」「数え年と満年齢」など、子や孫にも伝え残して頂きたいお話です。
お気軽にお運びください。
「出前講座」も受け付けています。
お問い合わせ⇒090-4573-1062(平松)