マナーうんちく話464≪「おいとま」と「お見送り」のマナー≫
味覚の秋、芸術の秋、文化の秋、体育の秋を口で、目で、心で謳歌したいものですが、度重なる台風の来襲に予定が狂ってしまった方も多いと思います。
私も各地で講座を主催していますので気象情報には敏感にならざるを得ません。
この度の台風により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
早い復旧と日常生活に戻られることを祈念いたします。
ところで10月は和風月名では「神無月」ですが、これにはいろいろな説があります。
先ず全国の八百万の神様が日本海を渡って出雲(島根県)に集結し、大国主命(おおくにぬしのみこと)のもとで会議をされるから、神様がいなくなるので神無月という名前が付いたという説があります。
ただし、島根県の出雲地方は神様が集うわけですから「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。
ちなみに会議の内容は農作物に関することもありますが、主に縁結びについてです。
出雲大社は「縁結びの神」として有名ですね。
そしてこの月、出雲地方の神社では神々をお迎えして、《おもてなし》をする行事が沢山あります。
旧暦で行う神社もあれば、新暦で行う神社もあるようですね。
さらに会議を終えた神様が出雲の国を去られるときには、お見送りをする行事もあります。
日本は世界に誇る「おもてなし」の文化がありますが、神様をお迎えして、おもてなしして、またお見送りするという、日本ならではの大変ユニークな文化だと思います。
稲作を中心として農耕文化で栄えた国ですから、米をはじめ五穀豊穣を祈念して、野菜や魚や神様が大好きな酒をお供えして神事を執り行い、それが済んだら神事に参加した人が神様にお供えしたものを下げ、みんなでいただいたわけですね。
春になって桜が咲く時期になれば、山の神様を招いて食べ物を備え豊作を祈願しました。
そして実りの秋になり収穫期になれば、再度神様を招いて食べ物や酒を備えて感謝の気持ちを添えておもてなししたわけです。
日本のおもてなしの原点はどうやらここにありそうですね。
相手が神様ですから、日本のおもてなしは西洋のホスピタリティーとは一味異なると思うのですが・・・。
次回に続きます。