マナーうんちく話89≪箸と椀。どちらが先?≫
今のように箸に厳格な作法を設けたのは千利休だという説もあります。
ちなみに正しい箸使いに関しては、現在は大人もできていないようで、和食のマナー講座を開催しても、本当に美しい箸使いができる人が少なくなった気がします。
正しい箸使いを始め、和食のマナーを子どもに教えることにより、小さい頃から咀嚼回数を増やすとともに、感謝や思いやりの心を育み、いじめに走らない子に育てたいものです。
しかし、大人がこの状態でしたら、子どもはどうなるのでしょう・・・。
マナーの視点でとらえると、日本の食文化はまさに危機的状況だと感じています。
この国が何もかも世界的には恵まれているのに、幸福度ランキングが毎年50位位を低迷している理由がわかる気がします。
箸使いに自信ない人は《マナーうんちく話「箸の美しい使い方」》を参考にしてください。
かなり詳しく触れております。
ところで洋食を頂くときにはフォーク・ナイフは縦にセットされます。
この方が使い勝手がいいですね。
韓国や中国でも箸は縦にセットされますが、日本の箸は料理の手前に、横に置かれます。
なぜでしょう?
あまり深く考えたことはないと思いますが、神道独特の理由が存在します。
箸が「結界」の役割を果たしているわけです。
日本では、改まった席の座礼では「扇子」を使用しますが、それと同じ意味を有すると認識していただいたらいいと思います。
扇子を境にして手前が下座であり、相手側が上座とする考えです。
つまり自分を下げ、相手に敬意を表すわけです。
これと同じ理屈で、箸を境にして食物の命を頂く自分は下座で、神様から賜った食べ物を上位に置くという考えです。
世界でもとてもユニークな捉え方で、食育でもぜひ取り上げて頂きたいと思うわけです。
このことを理解するだけで、人にとって大変大切な「感謝の心」が自然に身についてくると思うのですが・・・。
テーブルマナー講座でこんな話をすると「直接子どもに教えて欲しい」とよく言われます。
箸の精神文化を理解し、美しい食べ方が実践できればハッピーな気分になれます。