まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
9月20日は秋の「彼岸入り」でしたが、23日は「彼岸中日」、そして26日が「彼岸明け」です。
今年は本当に暑い夏でしたが、この時期から吹く風は次第に心地よくなってきます。
ところで23日は彼岸中日ですが、「秋分の日」は彼岸の中日であることをご存知でしょうか?
日本は南北に細長く、四季が豊かで、国土の7割が山林ですが、遠い昔から米を中心とした稲作文化で栄えました。
春に種をまき、秋に収穫するわけですが、何しろ農業は自然が相手です。
自然は人の力ではどうにもなりません。
だから先人は自然に対して畏敬の念を抱くとともに、祈りをささげ、感謝もしました。
春は五穀豊穣を祈願し、秋には収穫に対する感謝をささげるわけです。
ちなみに彼岸は仏教行事ですが、日本独特のようで、恐らくインドにも中国にもないでしょう。
そして彼岸は彼方の岸で悟りに満ちた清浄な地、つまり「あの世」の事で仏様が済んでいます。
一方、あの世の彼岸に対して、この世は「此岸」で、迷いや煩悩に満ちあわれています。
春分の日と秋分の日は、太陽が真東から登り真西に沈みます。
浄土思想では、極楽浄土は真西に存在すると考えられており、春分の日と秋分の日は、先祖と最も距離が近くなる日ですから、お墓参りをするようになったそうです。
彼岸の中日が春分の日・秋分の日ということも忘れられている今日この頃ですが、先祖を供養し、故人をしのび、自然と共生し、真摯に生きてきた先人たちの思いに心をはせるのもいいものです。
また現在の自分自身を改めて見つめてみるのもお勧めです。