マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
間もなくお盆ですが、お盆とはご先祖の霊をお迎えして、おもてなしをして、お見送りする一連の行事です。
8月13日が月遅れのお盆の迎え火を焚く日、つまり「お盆の入り」で、16日が月遅れのお盆の送り火を焚く日、つまり「お盆の明け」です。
帰省して家族や友人と一緒に過ごす人も多いことでしょうが、これは江戸時代のしきたりに由来します。
江戸時代は旧暦ですが、旧暦1月15日の「小正月」と、旧暦7月15日の「お盆」の時期には、商家に奉公に出ていた奉公人が、お土産を沢山抱えて故郷に帰省する日です。
働き方改革が叫ばれている現在でも、この習慣が根強く残っているわけですね。
どうか大切や人や、懐かしい人との絆を深めて下さい。
ちなみにお盆に先祖の霊を供養するしきたりは非常に古く、お釈迦様の弟子木蓮が、死後飢えと渇きに苦しむ、餓鬼道に落ちた母親を救うための供養から始まっているといわれています。
超能力を有した木蓮が、亡くなったお母さんに会いに行ったところ、飢えの世界である「餓鬼道」に落ちて苦しんでいる姿に遭遇します。
何とかしなければと焦りますがどうにもなりません。
先ずは、なぜ母が餓鬼道に落ちたのか?
その原因の追究が先で、その後対策を講じなければなりませんが、まったくわかりません。
そこでお釈迦様の教えを乞うわけですが、原因はどうやらお母さんが周囲への思いやりの心を失い、いつもわが子可愛さから、自分ファーストでいたためだったようです。
原因が解ればそれにマッチした対策が講じられます。
7月15日には修行僧たちが修行を終えます。
そこで彼らに食事を施し低調に供養しました。
こうして救われるという物語ですが、お盆の行事は、この物語が日本に伝わり多くの年月を経て、現在に至っています。
この物語のポイントは、自分本位にならないことと、見返りを求めないもてなしだと思います。
お盆には自分の日頃の行いについて考えてみるのもお勧めです。
また供養とは、花やご馳走もそうですが、合掌する心です。
故人は合掌されて安らかになり、生きている人は合掌することにより穏やかになると考えられています。