マナーうんちく話220≪就職祝いと親先輩の役割≫
年々日本を訪れる外国人が増えているようですね。
観光目的ならいざ知らず、留学やビジネス等で日本に長期滞在するとなれば、日本の文化や習慣などにもなじんでいただく必要がありますが、とても理解できそうにない習慣も多々あります。
日本の贈答文化しかりでしょう。
入学祝い、結婚祝い、長寿の祝い、昇進祝い、子どもの成長に伴う祝い、加えて結婚祝いなどあまりにも種類と頻度が多いのが特徴です。
そして、それらには厳格なマナーが存在し、贈ればいいというわけにはまいりません。
言葉の発し方にも注意が必要で、「心ばかりですが」「本の気持ちばかりですが」、あるいは「つまらないものですが・・・」などといわれても理解に苦しむでしょう。
それに加え「お返し」「内祝い」とくればさらに難易度が増します。
日本の贈答文化の大きな特徴が、外国のように「モノ」ではなく「カネ」が主流になっている点もさらに拍車がかかりそうですね。
また、お金もTPOに応じて「新札」の場合もあれば逆の場合もあります。
さらに奇数で対応するときもあれば、偶数でないといけない場合もあります。
勿論それぞれ理由があります。
実は、日本でも昔は香典にせよ結婚祝いにせよ物が主流でした。
香典は野菜や米が多かったようですが、お祝いごとには、なんといっても酒と海産物です。
海産物の中でも特に鮑は寿命が長いので重宝されていました。
そして時代が進み明治時代になり、日本銀行券が発行され、やがて高度経済へと発展するにつれ、慶事や弔事の贈り物に紙幣が使用されるようになったと思われます。
現在はそれがいわば暗黙のルールのようになっていますね。
ではなぜ慶事には新札なのでしょうか・・・
下記のような理由が考えられます。
〇心待ちにしていたという意思表示。
結婚は前もってわかる上に、新札はなかなか手に入りません。
だからだいぶ前から準備して、結婚式を楽しみにしていたという気持ちの表れ。
〇新しい門出を祝う意味
新札とは発行されたばかりのまだ新しい未使用の綺麗なお札だから、二人の門出を祝福するにふさわしいから。
以上が主な理由ですが、人から人へと渡るお金は、以前は穢れたものと考えられていました。
だからお祝いごとにはふさわしくないとされていたようですが、今では考え方が全く異なり、ほとんどの場合お金でやりとりします。
祝儀の時に使用する新札は、せめて「汚れがない新札で」という意味にとられたらいいと思います。
ちなみに昔から「奇数」は縁起のいい数字とされており、祝い事には奇数で対応する風習があります。
結婚祝いは新札で3万円、5万円、7万円となるようですが、最近は2万円もペアーを表し、偶数でもいいとされているようですね。
金額は贈り主の財布の事情にもよるでしょう。
2万円が気になるようでしたら、1万円札1枚に5千円札二枚の計3枚の紙幣でもいいかも・・・。
ただ大切なことは、それを頂いた人がどう感じるかです。
本来お祝事は式の1週間前までに、祝儀袋に袱紗をかけ、その上から風呂敷に包んで自宅に届けたものですが、最近は挙式当日が多いようです。
その際、袱紗に入れて持参し、受付では袱紗から祝儀袋を取り出し、先方に対して正面を向けて渡して下さい。