まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
2月早々再び雪に見舞われ生活に支障が出そうですが、冬はやがて春になります。
ところで日本には旧暦で使用されていた、それぞれの月の風情ある呼び方があります。このコラムでも何度も登場しましたが「和風月名」で、現在の新暦でも同じ呼び方がされています。
それによると2月は「衣更着(きさらぎ)」です。
寒さが非常に厳しく、さらに衣服を着こむという意味ですが、寒さがぶり返すので服を余分に着るという意味もあります。
加えて「如月(きさらぎ)」ともいわれます。
旧暦では立春が一年のスタートで今の正月ですが、その正月に迎えた春がさらに春めいてくるという意味です。
また自然や草木など万物が動き出すという意味や、草木の芽が芽吹く月という意味もあります。
「梅見月」「雪消月」「木芽月」等とも呼ばれます。
いずれも春を感じさせてくれ、こころが浮き浮きしてくるようですが、現実味がないかもしれませんね。
ひとえに旧暦と新暦のずれのせいで、新暦の今では2月下旬から4月の初め頃に当たります。
今年は例年にない厳しい寒さのせいか春を呼ぶ花の咲き具合が遅い気がしますが、それでも蝋梅に続き万作、紅梅などは自己主張をはじめ、春の香りを漂わせてくれています。
ちなみに、2月は厳しい冬から春へと季節が移り替わる時ですが、昔の人は新しい季節は風が運んでくると考えていたようですね。
そして春は、「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花・・・」と詠われているように東風が連れてきます。
この歌は誰もが知っている菅原道真が大宰府に流されたときの歌です。
道真は幼い時から梅に大変興味を持っていて、長年梅を愛でたといわれています。
低温注意報が続いていますが、間もなく梅がほころび始めると、高貴な香りが漂い始め、春を実感させてくれます。
寒い、寒いと言いながらも、東の風が吹いてきたら、思い切り吸い込んで春の気をいっぱい取り込みたいものですね。
2月になった今日から、気分を一新して春の準備に取り掛かるのもお勧めです。
今の時期は、二十四節気・七十二侯の最後で、「鶏始乳」(にわとりはじめてとやにつく)頃です。
「とや」とは「鶏屋」で「鶏小屋」のことです。
今でこそ養鶏が盛んで、卵は年中安定して供給され、価格も安定していますが、もともと鶏は冬には卵は産まないそうです。
その鶏が「春めいてきたので、卵を産み始めた」という内容で、一年が閉じられているのがすばらしいですね。
気分を一新して前向きに歩みなさいということでしょうか・・・。