マナーうんちく話1591《「あけましておめでとう」に込められた多彩な意味》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

明けましておめでとうございます。
旧年中は《マナーうんちく話》にお付き合いいただき誠にありがとうございました。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

ちなみに只今「正月」ですが、この「正月」という意味をご存知でしょうか。

以前12月は一年最後の月だから「除月」と呼び、一年で最後の夜が「除夜」というお話をしましたが、正月は「一年で最初の月」という意味があります。
中国から伝わった言葉で、旧暦の別称と認識されたらいいと思います。

また日本の和風月名では、1月は「睦月」と呼びます。
正月早々争いはやめ、互いに親睦を深めるという意味です。
さらに一年で最初の朝が元旦で、最初の日を「元日」と呼びます。

ところで正月には「あけましておめでとう」の挨拶をします。

おめでとうの挨拶は、昔から結婚、入学・入社、長寿を迎えたときなど、嬉しいことや目出度いことがあれば良く使用しますが、本来の意味は「新しい生命の誕生と息吹を表すお祝いの言葉」で、漢字では「お芽出度う」の当て字が一般的です。
語源は「愛でる」のようです。

では正月の「おめでとう」には、どのような意味があるのでしょうか?
正月の意味を理解すれば頷けます。

正月は穀物神や先祖の霊、つまり「歳神様」が各々の家にやってくる日です。
従って歳神様を、お迎えして、おもてなしして、お見送りする一連の行事で、神道では最も厳粛な祭りです。
家族の健康、子孫繁栄、五穀豊穣を賜るための大切なお祝いの日ということです。

だから概ね次のような意味が込められています。

【歓迎と祈りの意味】
大変ありがたい歳神様に「ようこそお越しくださいました」という、歓迎の意味が込められています。
また「どうか健康で農作物にも恵まれますように」との、祈りの意味も込められています。

【厳寒の中新しい年が迎えられたことへの感謝の意味】
今は冷暖房完備で、寒い時期に楽しむグルメにも満ち溢れていますが、昔はこの時期は大変です。食料もない、寒い、夜が長いとなれば健康で心豊かに生きることは大変です。
寒さと飢えで命を落とす危険が大きい中、「お蔭さまで今年も新しい年を迎えることができました」という感謝の気持ちが込められています。

【歳をいただくお礼の意味】
現在は年齢の唱え方は「満年齢」です。
生まれた時点では〇歳で、誕生日を迎えて満1歳になる捉え方で、公的にはすべてこの方式が採用されています。

しかし以前、恐らく終戦直後までは「数え歳」が一般的でした。
母親のおなかに新しい命が宿り、10月10日経て生まれてくるので、この世に生まれてきた時点で1歳となり、正月を迎えた時点でさらに歳神様からみんな平等に年をいただくわけです。

以上神道の捉え方ですが、《おめでとう》の意味は、日本人になじみが深い意味を沢山有しています。

一年の始まりをこのように寿いでいたわけですね。
次世代に伝えたい最高の文化であると同時に、国際化の時代、無縁社会の時代だからこそ再認識したい文化です。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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