マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
五穀豊穣と子孫繁栄をもたらして下さる歳神様をお迎えして、おもてなしする正月は、日本人にとってとても大切な行事です。
そして一年の幸せを祈るしきたりが幾重にもちりばめられて、脈々と現在まで伝えられてきたわけですが、その典型的なものの一つに「おせち料理」があります。
重箱に料理が詰められるのは近年になってからですが、これにも「お目出度いことが重なる」という意味があります。
おせち料理は、それぞれの家庭や地域により中身は様々ですが、今回はこれくらいはぜひ知っておきたい「おせち料理のうんちく」に触れておきます。
【おせち料理の意味】
ところでおせち料理にはどんな意味があるのかご存知でしょうか?
様々な説がありますが、概ね次のような意味が一般的です。
〇子孫繁栄の「数の子」、マメ(元気)で働ける「黒豆」、未来が切り開ける「蓮根」、豊作を意味する「田作り」、土の中にしっかり根を張るから家の繁栄を意味する「たたきごぼう」、長寿の「海老」、《喜ぶ》の語呂合わせで「昆布巻き」、財産運を祈る「きんとん」、喜びと清浄を意味する「紅白かまぼこ」などと、総じておめでたい意味の料理。
〇正月は歳神様がおられるので、台所仕事をしなくてもよいように年末に準備した料理。ちなみに「餅」は、台所がなくても火鉢で簡単に焼いて食べられるようにとの目的で作られたという説があります。
〇新年に歳神様と一緒に食べる料理。
その際使用する箸が、両方の先がとがっている「神人共食箸」である「祝い箸」です。柳の白木で作られるから「柳箸」ともいわれます。
大人も子供も縁起の良い八寸の長さ(24㎝)の箸を使用します。
【おせち料理の本来の意味】
以上のように色々な説があるようですが、「おせち」の「せち」は漢字で表現すれば「節」になり「節句」を意味します。
節句とは一年を通じ季節の節目に訪れる「祭日」のことで、1月7日の「七草の節句(人日の節句)」、3月3日の「桃の節句(上巳の節句)」、5月5日の「菖蒲の節句(端午の節句)」、7月7日の「笹の節句(七夕の節句)」、そして9月9日の「菊の節句(重陽の節句)」です。
そして今では、最も大切な新しい年の初めの正月の料理だけが「おせち料理」と呼ばれるようになりました。
ちなみに、五節句は全て奇数ですが、これは奇数が縁起のいい数字とされていたためです。
「おせち料理の基本」
今ではデパートやスーパー、あるいはコンビニなどで豪華な重箱に入った料理が定番になっていますが、昔は「煮しめ」や「雑煮」などが基本的な組み合わせだったようで、お膳だったり、大皿に盛られていたようです。
今のように豪華な料理が、重箱に詰められるようになったのは戦後で、デパート等の営業戦略でしょう。幸せが重なるようにしたのが受けたようですが、庶民の間でもこのころから、暮らしにゆとりが生まれるようになったことも大きな要因だと思います。
ちなみに威勢よくご馳走を振舞うことを「おおばん振る舞い」といいますが、「おおばん」とは器を載せる台のことです。
次回に続きます。