まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
全国津々浦々お祀りの季節がやってきました。
祭りといえば「お御輿」ですが、ふんどしや法被姿で威勢よく掛け声とともに担いでいる姿は、まさに日本ならではの風物詩です。
通常は元気のよい男性が担ぐケースが多いようですが、女性だけで担つぐのもあれば、子どもが担ぐ御輿もあります。
ちなみに昔は、今のようにエンジンで始動する車はなく、全てが人力です。
「輿」とは人を乗せて、人の力で持ち上げて運ぶ乗り物です。
恐らく天皇や貴族のように高貴な人が乗っていたのでしょうが、これに神様が乗れば「神輿」になります。
お神輿はふつう肩に担いで高い位置で運びますが、これは神様に敬意を払うためです。
だからお神輿を2階や3階のような高いところから見るのは、神様を見下すようになるので感心しません。
さらにところによってはお神輿を大きく揺さぶる場合もありますが、これにはそれなりの訳があります。
江戸時代以降に様々な担ぎ方のスタイルが生まれたようですが、お神輿をあえて揺さぶる理由は神様の霊力を高めて豊作を祈願するためです。
また「ワッショイ・ワッショイ」と掛け声をかけるのは、「和を背負う」という意味があるそうです。和を尊ぶ日本人らしい掛け声ですね。
10月の月末に行われるハロウイーンにはない文化でしょう。
米を主食にしている日本人ならの発想で、大切にしたい文化です。
ところで祭りには神様の霊、つまり神霊をおみこしに乗せて、氏子が住んでいる地域を練り歩くわけですが、これは神様が出て地域に充満している穢れや邪気を一掃するためです。
日本人なら誰しも口ずさんだ経験があると思いますが、唱歌の「村祭り」には、村の鎮守のお祭りが登場します。
鎮守様はその村の守り神で生まれてから、ずっと地域でお世話になる神様です。
ちなみに日本にはコンビニよりはるかに多い実に8万を超える神社が存在します。
五穀豊穣、厄除け、家内安全を祈念し、鎮守の神様にお参りするわけです。
加えて祭りの日などに、神様に捧げる舞踊などの芸能が「神楽」で、豊作や邪気払いの祈願、さらに収穫を祝うためにも舞います。
科学が発達した今でも、困ったときや苦境に立たされた時には「困った時の神頼み」を行います。
昔は特に血縁や地縁が大事にされていたので、一番身近な氏神様や鎮守の神様にお願いしたわけです。
子供の成長を祝う儀式が日本にはたくさんありますが、子どものお宮参りは、ひとえに子供がその地域の一員になることを認めて頂く儀式です。
最近はハロウィンのイベントが年々盛大に繰り広げられますが、自国の文化や伝統行事も大切にしたいものですね。
国際化とは不必要に欧米諸国の文化に染まるのではなく、先ずは自国の文化や礼儀作法に精通し、それを次世代に伝え、国際社会にも発信していくことだと思うのですが・・・。
日本の祭りは年々廃れ、欧米から伝わったハロウィンイベントは学校や企業でも盛大に執り行われる。
私はこんな国が幸せになれるとは思いません。