まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
今年の仲秋の名月は8年ぶりに10月になりましたが、実は仲秋の名月が必ずしも満月ではありません。
昨夜は好天に恵まれお仲秋の名月がきれいに見えたので気が付かれた方も多いと思いますが、ほんの少し欠けていました。
旧暦と月の満ち欠けの周期が完全に一致していないからですが、今年の満月は10月6日だといわれています。
つまり昨夜より今夜、そして今夜より明日の夜のほうが美しく見えるかも・・・。
昨夜の仲秋の名月に引き続き、今夜と明日の晩は「大人だけのお月見」を楽しまれてはいかがでしょうか。
優美な虫の鳴き声を聞きながら、16夜、17夜の月見もお洒落でいいものです。
旧暦は月の満ち欠けが基準になっているからでしょうか、先人はそれぞれの月に素敵な名前を付けています。
旧暦の15日の月は15夜で「望月」と呼ばれます。
日本では満月には月でウサギが餅を搗くといわれますが、これはインドの仏教神話に「望月」の名前が加味されたからでしょう。
つまり「望月」が「餅を搗く」になったわけです。
そして16日の月は「十六夜(いざよい)の月」です。
「いざよう」は「ためらう」という意味ですが、実は15夜に比べて16夜は、月の出が40分から50分くらい遅くなります。
だから遅くなったので、お月様が出ようか?出まいか?ためらうからつけられた名前です。
17夜の月はさらに月の出が遅くなるので、月の出を立って待つようになるから「立待月」になります。
18夜は立って待っては疲れが出るくらい遅くなります。
だから座って待つようになるので「居待月」で、19日はついに寝て待つようになり「寝待月」と呼ばれます。
今夜は15夜にお供えした団子を焼いて「焼きもち」にして、月に酒をお供えして夫婦ゆっくり、酒でも酌み交わしながらお月見をするのもお勧めです。
明日の元気が湧いてきます。
「月映し(つきうつし)」という粋な酒の味わい方があります。
先ず手ごろな「どんぶり」を用意してください。
どんぶりに、なみなみと酒を注ぎ、そのどんぶりに月を映してみてください。
そのどんぶりを回し飲みして絆を深めるということです。
夫婦や気の置けない仲間とぜひ試してみてください。
ずいぶん昔の話になりますが、大学に入学した時の新入生歓迎コンパで、先輩から「どんぶり酒」を飲まされた経験があります。
当時は若さに任せてずいぶん乱暴な飲み方をしていましたが、その頃は同じどんぶり酒でも、こんな風流な飲み方があるとは知りませんでした。
昔の人は粋な楽しみ方が上手だったようですね・・・。
現代人は「日の出」を楽しみますが、先人は同様に「月の出」もたのしんでいたようですね。
来る日も、来る日も・・・。
日本語は世界の言葉の中でも大変美しいといわれていますが、「敬語」というのは恐らくこのような感性から生まれた文化ではないでしょうか。。