マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
「困ったときの友こそ真の友」という諺があります。
英語では「A friend in need is a friend indeed」と表現されます。
自分が窮地に陥った時に温かい手を差し伸べてくれる人が身近にいたら心強いもので、その経験はいつまでも心に残ります。
人は景気が良く金回りが良ければ自然によってきますが、いったん没落してしまい貧乏になってしまえば、いつの間にか周囲には誰もいなくなってしまいます。
「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったものです。
しかし苦境に陥った時にでも、一人でも寄り添ってくれる人がいればありがたい限りでしょう。その人は幸せな人だと思います。
マナーの世界では常に相手の立場に立って考えることが大切だといわれます。
しかしこれだけ物事が多様化した時代に、相手と同じ価値観を抱き、同じ考え方になることは恐らく至難の業だと考えます。
兄弟でも親友でも夫婦でもそうはいかないでしょう。
できるとしたら、「自分ならどうありたいか?」「自分ならどうしてほしいか?」の判断位ではないでしょうか。
「マイベストプロ」にコラムを発信し始めて約7年の月日が流れ、「マナー」や「生きがいづくり」に関する1500を超えるコラムを発信させていただきました。
お蔭で全国各地に多くのフアンもでき、講演・研修の依頼とともに、多くの質問を寄せて頂きています。感謝の至りです。
コラムでも取り上げていますが、私の大好きな言葉に「和顔愛語」があります。
※マナーうんちく話494《和顔愛語》を参考にしてください。
仏教の教えですが、優しい表情に思いやりのある言葉を添えて相手と接するという意味です。
だから研修会や講演会、さらに質問などを受けたときにはできる限り穏やかに接するように心がけています。
そしてこれが癖になると、周囲の人にも、初対面の人にも自然にそのような気持ちになれるから不思議です。
また「思いやりの言葉」をできる限り発するように心がけています。
日本は世界屈指の長寿国ですが、長生きを競うより、長い人生をいかに充実して生きるかはとても大切です。
それには物の豊かさも大切ですが、高齢期になればなるほど「心の豊かさ」が大切に夏と痛感します。
人に喜ばれる。
人の役に立つ。
人に頼りにされる。
存在感がある。
心の豊かさとは、このような生き方だと思いますが、私のような普通の人間が大金を寄付したり、建設的な仕事で世の中に貢献できることは所詮無理な話です。しかし接するすべての人に和顔愛語の気持ちを心がけ、相手を心地よくさせることは可能です。
ところで和顔愛語の後には「先意承問(せんいじょうもん)」という言葉が続きます。
先に相手の気持ちを汲み取って、相手のためにどうしたらいいのか?あるいはなにができるのか?自分自身に問いだすわけですが、これはかなり人生修業を積まなければ難しいでしょう。
好きでもない人に優しくできませんし、嫌いな人には笑顔も出ません。
しかし、相手に優しくしてほしかったら、こちらから先に相手に優しく接する。
相手に笑顔で接して欲しかったらこちらから、先にこちらから笑顔で接することは可能です。
「和顔愛語 先意承問」を、家庭や地域や学校や職場で、できる範囲で心がけて見られたらいかがでしょうか。人生が大きく好転するでしょう。