マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
地球温暖化のせいでしょうか?
従来の季節感がかなり異なってきた感じがします。
例えば「桜前線」。
桜前線は従来の概念だと、3月に鹿児島県の大隅半島が始発になり次第に北上すると思われていましたが、今年の桜は、全国で東京が一番先に開花しました。
開花状況もまちまちです。
この調子だと、恐らく「紅葉前線」もかなり従来とは異なるかも・・・。
5月5日は暦の上では夏がスタートする「立夏」です。
二十四節気の一つで春分と夏至の間になります。
つまり夏至から立秋の前日までが「夏」ということですが、まだストーブのお世話になる日があるかもしれませんね。
新緑が美しく絶好の行楽日和ですが、時に「忘れ霜」と言って霜に見舞われる時があります。油断大敵です。
また紫外線は5月から8月までピークになりますのでご用心下さい。
眩しい夏の気配が漂い、暑い日も有れば寒い日もある季節ですが、何と言っても若葉が茂りみずみずしい季節で、若さと美しさが共存する季節には間違いありません。
先人は花が咲くことを笑うと表現しましたが、春の「山笑う頃」から夏の「山滴る頃」に移行する時です。
梅が春を告げてくれる花で、桜や桃が春を謳歌する花なら、春のフィナーレを飾る花は何と言っても「牡丹」ではないでしょうか。
昔から牡丹は「百花の王」と言われています。
だから「富貴草」や「花王」の別名を持ちますが、昔から美しい女性のたとえとしてよく引き合いに出されます。
ちなみに牡丹の「牡」はオス、「丹」は赤いという意味です。
江戸時代の諺辞典に《立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿はユリの花》がありますが、着物姿の女性の凛とした美しい立ち居振る舞いを見事に表現しています。
この姿は欧米のセレブにも真似のできない日本人女性ならではの美しさだと思うわけです。
そして持統天皇の《春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山》も今の時期に相応しい歌です。
「クールビズ」が始まり、夏の装いが恋しくなりましたが、昔の人も白い衣服で夏を迎えたのでしょうか・・・。
季節により衣装を変えるのも日本独特の風習でしょう。だから「クールビズ」などという和製英語で表現するのはおかしいと思います。
「衣替え」という平安貴族の伝統を受け継ぐ美しい言葉にもっと愛着を持って頂きたいものです。
緑が日毎に濃くなり、てり注ぐ光が眩しくなる頃ですが、それだけに多くの生物が生き生きと躍動する時です。
しかしゴールデンウイークもあとわずか。
中には気分が落ち込んでうつ状態になる人もいるかもしれません。
自然と向き合い、大きく深呼吸して、緑の生き生きとした鋭気を一杯吸い込んで、前向きに歩んでいただきたいものです。