マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
雛人形を飾って、女子の厄除けと健やかな成長を祈願する行事は人形が売れる行事ですから、業者が大いに盛り上げてくれます。
物が豊かで、思いやりの気持ちを発揮したい親心がマッチして今後も大いに発展すると思いますが、艶やかさ、華やかさ、豪華さを競うより、親として大切な事を教える絶好の機会だという認識も大切です。
先人に見習いたいものです。
【雛人形の飾り方としまい方】
雛人形は早く飾り、終わればすぐにしまうのが理想です。
飾るのは立春を過ぎたらいつでもいいと思いますが、二十四節季の一つ「雨水」に飾れば「女の子が幸せになれる」という言い伝えもあります。
問題は「祭りが終わればどうするか?」ですが、直ぐにしまうのがお勧めです。
祭りは非日常で「ハレの日」ですが、先人は非日常が、普段の日常に悪い影響をもたらさないように、祭りが終われば直ちに元に戻すことを大切にしていました。
「雛飾りの片づけが遅れれば女の子が嫁に行き遅れる」と言われていますが、これは「何事もけじめをつけなさい」という訓えです。
雛祭りは名残を惜しむのではなく、余韻を残さないということです。
また「桃の花」には邪気を払う効果があるとされています。
加えて一つの枝に多くの花をつけるので子宝に恵まれるとも伝えられています。
白酒にも邪気を払う効果があるとされています。
さらに雛祭りには「ハマグリの吸い物」が付き物ですが、これは同じ貝同士でないと上と下の貝がぴたりと合わないからです。
2枚の貝が固く結びついているので夫婦和合を意味します。
だから結婚式や雛祭りに供せられますが、家庭で作る時には開いた一つの貝に二つの身を必ず付けて下さいね。
離婚の概念が薄れてきた現在の人にも参考になればいいと思います。
ちなみにハマグリの旬は3月から4月です。
そして婚礼にハマグリが出るようになったのは徳川吉宗のせいだという説が有ります。
ところで婚礼でハマグリの吸い物が出たら実を食べますか?
実は汁だけを味わうのがしきたりと言われています。
以上今の時代に合うかどうかはさて置き、参考にしたい先人の考えです。
では、女の子が二人いる場合は、雛飾りはどうしますか?
古い家では代々伝わる人形があると思います。
それはそれで大切に飾りたいものですが、雛人形は基本的には女の子のお守りの様なものです。
だから基本的には「一人に一つ」が理想です。
簡単な物で結構ですから、男女のペアの人形をその子だけの為に用意してあげることをお勧めします。