マナーうんちく話535≪五風十雨≫
あけましておめでとうございます。
旧年中は「マナーうんちく話」にお付き合いいただき誠にありがとうございました。全国の多くの方と素晴らしいご縁を頂いた事に深謝いたします。
今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
「元旦」とは「一番初め」という意味で、一年の中でも1月1日だけを指します。
そして「正月」とは中国から入ってきた言葉で、「大陰暦の第1の月」という意味です。
ちなみに「大陰暦」とは月の満ち欠けの周期を基にした暦で「陰暦」とも言われます。※大陰とは「月」のことです。
また地球が太陽の周りを回る周期を基にした暦は「太陽暦」といいます。
ところで元旦や正月には一年でこの時期しかできない挨拶を交わします。
この改まった言葉を耳にしたり口にしたりすることで、「正月」になったと気持ちも改まりますね。
英語では「happy new year」、日本語では「あけましておめでとうございます」と言います。同じような意味合いでも使用されますが、日本語には深い意味が有ります。
「happy new year」は本来「I wish you a happy new year」で、「貴方に幸せな新年が訪れますように」とか「幸せな年でありますように」の意味を有しているようです。
これに対して日本の「おめでとう」は様々な意味が込められています。
「おめでとう」とは本来、新しい命の誕生と息吹を表現する「お芽出度う」に由来します。
では何がお目出度いから「おめでとう」の言葉を発するのでしょうか?
このコラムでも何度もお伝えしましたが、正月はご先祖様(歳神様)の里帰りです。歳神様をお迎えして、おもてなしをして、お見送りする一連の行事で、数ある年中行事の中でも最も厳粛な祭りの一つです。
その年の全てのものを宿して、育む力を授けて頂くためのとても大切な祝日というわけです。
だから「あけましておめでとうございます」とは、ご先祖様に対して「今年もようこそお越しくださいました」という歓迎の言葉であり、祝福の言葉でもあります。
加えてご先祖様に対して、「今年もどうか豊作をもたらして下さい」というお願いや御祈りの言葉でもあります。
まだあります。
陰暦の正月は今の立春ですから、一年で最も寒さが厳しい時でもあります。
この厳しい冬の中で、「今年も無事に新しい年を迎えることが出来ました」というお祝いの言葉でもあるわけです。
日本の「あけましておめでとう」は、単に新しい年になったというより本当に深い意味が込められているわけですね。
昨年は「和食のマナー」と共に「年中行事のしきたりやマナー」の講演依頼を沢山いただきました。
講演時間は90分から120分位でしたが、さらに聞きたい人が圧倒的に多く、リピートが続出しています。
国際化が進展する中、日本の文化や歴史や礼儀作法を始め、年中行事に込められた先人の思いなど、自国の事をさらに理解し、次世代にも正しく伝え、国際社会に発信したいものです。
そうすれば、日本人としての誇りをさらに強く持てると思います。
今年も「本当に大切なモノは何か?」についてコラム・研修会・講演会等を通じ発信して参りたいと思います。宜しくお願い致します。