マナーうんちく話553≪「和の作法」と「一回一動作」のお勧め≫
冬の声を聞くようになると、庭や道沿いの垣根の「山茶花(サザンカ)」が咲き始めましたね。
赤や白やピンクの山茶花の花が咲いていると、そこだけが暖かい感じがするから不思議です。
『垣根の垣根の曲がり角、焚き火だ焚き火だ落ち葉焚き、あたろうかあたろうよ、北風ぴいぷう吹いている』
『山茶花山茶花咲いた道 焚き火だ焚き火だ落ち葉焚き。・・・』
幼い頃に口ずさんだ童謡「たき火」ですが、この歌を聞くことも、焚き火の光景を見ることも、すっかりなくなりましたね。
この曲が作られた頃の日本はまだ貧しく、物も無い時代ですから、娯楽も食べ物にも不自由していました。
だから落ち葉を集めてする「焚き火」の語らいは大きな楽しみの一つであり、そこでの焼き芋はとても贅沢やおやつだったわけです。
ところで11月7日は何の日かご存知でしょうか?
二十四節気の一つ「立冬」ですが、「イイナベ」の語呂合わせで「鍋の日」でもあります。
皆で温かい鍋を囲んで、ワイワイ言いながら、旬の物を食べるのはいいモノですね。今年は野菜が高いのが少し気になるところですが・・・。
今の日本の食事情はとても豊かで多くの料理が有りますが、「鍋料理」の数も半端ではありません。
ちなみに何を以って鍋料理というかについては下記の説が有力です。
○目の前に火元が有る。
○液体の中に具が有る。
○みんなでワイワイ言いながら食べることです。
そして鍋をより美味しく食べるには、その場を仕切る人が必要です。
いわゆる「鍋奉行」です。
鍋に関して豊富な知識を有し、皆に気配りが出来、講釈を垂れることが出来る人がいれば最高です。つまりワークショップのファシリテーターの様な人だと認識して頂いたらいいと思います。
また鍋奉行には食材に関する知識も必要です。
最近は食材の数は非常に多いのですが、食材の名前を理解していない人が多いような気がします。
今口にしているものが何か?くらいは最低限知っておきたいものですね。
また「一人鍋」が登場したりしていますが、孤食をあおる結果にもなりかねないと私は心配です。
鍋料理のいい所は「心を通わすための料理」ですから、みんなで食してこそ鍋の意義が有ると思うのですが・・・。
そしてその食卓を楽しく、賢く、美味しく仕切れる人の存在が有れば、厳しい冬も温かく過ごせると思います。
知識も豊富で人柄も優れた鍋奉行こそ、本当の意味での「グルメ」と言えるのではないでしょうか?