まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
暦の上での秋は立秋から立冬の前日までですが、「秋の語源」は、食べ物が豊富に出回り、木の葉が赤く染まり、空の色が明らかになることにあります。
空気が澄み空の色が明らかになれば、美しい月を愛でることが出来るので、道元は「秋は月」と詠んでいます。
だからこの時期になると、先人たちは移ろいゆく日々のお月さまに素敵な名前をつけて、風流を楽しんでいたようですね。
まさにスローライフの時代ですからその気持ちがなんとなく解る気がします。
ところで旧暦の月では秋は7月と8月と9月までですが、7月を「初秋」、8月を「中秋」、9月を「晩秋」と呼びます。そして月を愛でるには8月の中秋がなんと言ってもメインになるわけです。
ちなみに旧暦は月の満ち欠けに大きな影響を受けますが、先人が月に対して、どのような思いを持っていたのかは、その名前の付け方からも容易に伺うことが出来ます。
もともと昔は月の形で何日かを判断していたようですね。
たとえば「今日は満月になったから15日、新月だから1日」というように・・・。
昔の暦はそんな単純な暦だったと思います。
中秋のお月様の移り変わりと、その呼び名を前半と後半に分けて解説しておきますので、一年で最も月が美しい時期を心豊かにお過ごし下さい。
加えて次回より「満月」に込められた様々な物語に触れますので、併せてお付き合いください。
○新月
肉眼で見えるか見えない位ですが、大陰暦では一月のスタートになります。
月はこの状態から日毎に満ちて行きますが、その新月が一日(ついたち)で満月が15日になったわけです。そして月が12回満ち欠けを繰り返せば一年が経過する事になり、このような月の動きを基準にして作られた暦が「大陰暦」です。ちなみに「大陰」とは「月」のことです。
○三日月
月が小さいながらも細い月がはっきり見えてきます。
なぜ三カ月かと言えば三日目の月だからです。
○七日月
弓の弦を張ったように見えますが半月です。
別名「上弦の月」とも呼ばれます。
○十日夜
10日目ともなれば、次第にお月さまが丸くなってくる頃です。
「とおかんや」と読みますが、「十五夜」、「十三夜」とともに頭に入れて下さい。
○十三夜
このコラムでも何度も触れましたが、十五夜と共に「二夜の月」といって月見の対象になる月で、現在でも様々なイベントが各地で行われています。
完璧ではなく、少し欠けた状態を好んだ日本人の感性が垣間見られる月です。
○十四夜
いよいよ後一日で待望の満月ですね。
満月を待ちきれない人がその思いを込めてつけた名前でしょう・・・。
昔の人は意外にせっかちだったのでしょうか。
○十五夜
旧暦八月の十五夜に限り「中秋の名月」呼びます。
私たちに一番なじみの深い月で、各地で様々なイベントが展開されますが、統計上では快晴の日は少ないようですね。
今年はどうでしょうか?
次回はお月見に触れ、最後に「十五夜」以降の名前にも順次触れておきます。