まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
「1月はいぬる」と言われますが、2016年も1月が瞬く間に過ぎ、今日から2月。旧暦の「和風月名」では、「着更着」「衣更着」と表現します。
冬将軍がいすわり、一年で最も寒い気候ですから「衣服を更に着る」と言う意味です。
月末からの寒波で厚着をした人や、布団を沢山掛けて寝た人も多いと思いますが、着更着は、まさに的を射た表現ですね。
しかし、そんな寒さの中でも自然はしっかり春の到来をキャッチしています。
寒さの中で草木の芽が張り出してきました。
だから2月は「如月」とも言われます。
この他、2月は「木目月(このめつき)」とか「雪消月(ゆきげしづき)」、あるいは梅がほころんでくるので「梅見月」の名前が付いています。
冷たい風が吹き、寒さのせいで思わず背中が丸くなる季節ですが、そんな中でも春は産声をあげているのですね・・・。
勿論、気候のことですから毎年同じではありません。
しかし2月の声を聞く頃には、日差しも着実に長くなり、春の到来が感じられます。
雪も消え、梅見のシーズン到来です。
ちなみに、日本最古の歌集である「万葉集」には100種を超える花が登場しますが、中でも最も多く詠まれている花は「萩」です。
そして2番目が「梅」です。
萩は秋の七草に選ばれ秋を代表する花ですが、春を告げると言われた梅が2番目に登場するのは興味深いですね。
当時の花見は桜ではなく「梅」であったのでは?と想像できますね。
これから卒業、入学、昇進、お花見等など楽しみの多い季節に向かいますが、
一番寒さが厳しくて辛い日は、一番希望が持てる日だと言うことでしょうか。
ところで日本人は長らく自然に仲良く寄り添い、季節の移り変わりや、花や鳥などの様子を細かく観察してきました。
そして草木の息吹や、虫の活動の様子、鳥の鳴き声、降る雨や雪、吹く風、さらに雪や露や氷の様子にまで素敵な名前をつけています。
四季折々の移ろいに感動し、恵みに感謝し、季節を慈しむ喜びを見たしてきたわけです。
「和風月名」に風流を感じるのはそのためでしょう。
国際化の波に遅れてはと、猫も杓子も英語に走り、二月は英語でfebruaryと理解することも必要でしょうが、日本の二月を象徴する「如月」「着更着」「梅見月」等の美しい言葉の存在に目を向けるのも大切だと思うわけです。
厳しい寒さが当分続くかもしれませんが、試練の冬に耐えてこそ安穏の春を謳歌することが出来ます。
暦の上ではもうすぐ春。
希望を持って歩んで下さい。