マナーうんちく話1141《海老で百魚の殿様「鯛」を釣る!》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

四季が明確に分かれている国日本は、豊かになり過ぎたせいでしょうか?
一年を通じて多くの食材が手に入ります。
だから、食べ物の旬を知らない人が多いのも頷けます。

ところで日本人にとって慶事に欠かせない「鯛」の旬をご存知でしょうか。

鰻の蒲焼と同様、一年中口にすることが出来、しかも一年中美味ですが、やはり鯛は冬から春にかけての頃が最高と言われています。

以前にも触れましたが、鯛は「姿」「色」「味」が3拍子揃っていることと、長寿の魚でもあります。

それ故に「百魚の殿様」と言われるわけですが、「百花の王様」と呼ばれる「牡丹」と囲気が似ていますね。

ちなみに、「祝い事」と言えば日本では昔から鯛のオカシラツキですが、これは「目出度い」の語呂合わせもありますが、何とも言えない美しい紅色が加味されるからです。

加えて、長寿の魚ですから、それにあやかると言う意味もあります。
神事において神様にお供えする理由が頷けます。

しかし、どんな鯛でもいいわけではなく、神様にお供えする鯛は特に、姿、形が整っていて新鮮でないといけません。

「オカシラ」は漢字で書くと「尾頭」となりますが、これは鯛の尾から頭までが美しく保たれていると言う意味です。

それを神事の後に下げて、参列者がいただくわけですから、「美しく食べる」と言うマナーが課せられます。

和食のテーブルマナーでも「尾頭付きの魚」は食べ方が難しいですが、神様にささげた魚だから美しく食べなければいけないわけです。

ちなみに鯛の鮮紅色は、ひとえに鯛が海老を好んで食べるからという説がありますが、「鯛で海老を釣る」と言う諺がありますね。
ちょっとした努力や少ない投資で、大きな利益を得る意味で使用されます。

海老は高級魚ですが、この海老は魚のえさになるような小さい海老のことでしょう。

人の行動の奥には「海老で鯛を釣る」要素が大きいですね。
たとえば、わずか数百円の投資で億万長者を狙う宝くじはその典型でしょう。

競輪、競馬等もそれに該当するかもしれません。

現実的には、少ない元手で大きな利益を得るのは難しいと思いますが、宝くじも競馬もまだ持続していると言うことは、常にそれを狙っている人がいるからでしょう。

ビジネスの世界でも、少ない経費で大きな利益が有られればいいですが、全てがそんなにうまくいくとは思えません。

特に安全に関わるようなことは、その逆かもしれません。
また予想外のことを最初から狙う「とらぬ狸の皮算用」にもなりかねません。

和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて久しくなりますが、鯛はその和食の最高の料理です。

数年前に一流・有名・名門と呼ばれるホテルや百貨店において食品偽装問題が発覚しましたが、今回は消費期限切れ食品の横流しがクローズアップされました。

食べると言う行為は命に直結するので古今東西、食べ物はとても神聖な物として扱われています。考え方は大きく異なりますが、「手食」も「箸食」も食べ物をこの上ない神聖なものとする考えから生まれた文化です。

色々な事情はあるにせよ、姑息な手段にとらわれないで、真摯な態度で食べ物と向かい合って頂きたいものです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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