マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
「八方美人」と言う言葉があります。
八方から見ても美人に見えると言う意味が転じて、誰に対しても愛嬌が良く、無難に人付き合いが出来る人のことです。
どこの職場でも、多かれ少なかれ必ずいます。
美人の定義は時代と共に変わります。
しかし、いつの時代でも、八方美人は疲れると思いますが、いかがでしょうか?
確かに、敵は少ないかもしれませんが、本当の意味での見方も少ないようです。
およそ、全ての人に好かれる人等あり得ません。
誰かに好かれたら、誰かに嫌われます。
あの偉大なお釈迦さまやイエスキリストも万人に好かれたわけではありません。
だから宗教戦争が起こるのです。
問題は「好きな人」と「嫌いな人」の割合です。
好きな人の割合を高くする努力は大切ですが、万人に好かれようとする努力はむなしいものになりそうですね。
下手をすれば「八方美人」は結局、「八方ブス」になりかねません。
では、どうすればいい?
「嫌われてもいい!」と割り切ることです。
その代わり、自分の意見をキチンと持ち、堂々と述べて下さい。
時と場合にもよりますが、自分のしたいこと、言いたい事を、素直に表現できるようになることです。
そして、全ての人にエネルギーを注ぐのではなく、自分にとって本当に大切な人に、より多くの時間やエネルギーを注ぐことをお勧めします。
また、「八方美人」とはいかなくても、自分も楽しく、相手にも好感を与えることは大切です。
そのためには「はい」「いいえ」を明確にすることです。
最近、面と向かって「イエス」「ノー」がはっきり言えない人が多いようです。
自己理解を深め、自分の責任の範囲を日頃から決めておくことを心掛けて下さい。責任の持てる範囲を広める努力も大切です。
自分の優柔不断な態度を改め、自分に厳しく、相手の人格を尊重しながら、節度を持って、イエス、ノーを明確にするのは難しいものです。
しかし、国際化に向けて「思いやりの心」を持ちつつ、柔軟な中にも凛とした態度を養っていくことも必要です。
ところで「八方ブス」は、花子に対しては「太郎が花子の悪口を言っていた」と言い、太郎に対しては「花子が太郎の悪口を言っていたよ」と言うタイプの人ですが、これは感心しませんね。
「村八分」という言葉があります。
江戸時代から存在しますが、村や共同体のしきたりや掟を破った人に対して、村人全員が申し合わせて絶交することです。
絶交するのは冠・婚・出産・病気・旅行・水害・建築等10分有るコミュニケーションの8分で、葬式と火災の時の消火活動は保たれています。
ちなみに、村八分と言えば、中山間地域を思い浮かべますが、都会の団地でも職場でもどこでも見受けられ、人付き合いが悪ければ最悪の場合これに陥ります。解決するにはまず原因の究明が大切です。
八方美人や八方ブスではなく、和を保ちながら、凛とした主体制を堅持しつつ、TPOに応じて柔軟に対応したいものですね。
素敵なマナーを身に付ければとても役に立ちます。