マナーうんちく話521≪お心肥し≫
日頃日本茶をよく飲みますか?
では、「茶柱」に出会うことはありますか?
最近、茶柱に出会う機会がめっきり減って来た感がありますが、如何でしょうか?
小さい頃は、「四つ葉のクローバー」を見つけたり、お茶を頂く時に茶柱が立ったら縁起が良いといって喜んだものですが、それらが無くなるとさびしい気がします。
ではなぜ?茶柱が立つ機会が少なくなったかと言えば、ひとえに豊かで便利になったからです。
先ず、なにもかも贅沢になり、玉露や煎茶のように良いお茶を飲む癖がついたお陰で、「茶茎」の入った茶葉を使用する機会が減少しました。
加えて、急須や茶漉しの性能が良くなったこともあげられます。
さらに、ペットボトルの割合が多くなり、お湯を沸かしてお茶葉を使用する機会が少なくなったことも大きいと思います。
ところで、なぜ茶柱が立ったら縁起がいいのでしょうか?
色々な説がありますので紹介しておきます。
○昔のお茶商人の売り上げアップの戦略。
お茶は「一番茶」「二番茶」のように、摘む時期や部分により等級が分けられるのですが、新芽の一番茶ばかりが売れ、茎の部分が多い二番茶の売れ行きがよろしくありません。
そこで、茶葉を商う商人は、茎の多い二番茶を売るために、「茶柱が立ったら縁起が良いよ!誰にも知られずにそっと飲んだら幸せになれるよ!」と触れまわって、二番茶を売ったという話があります。
夏の土用の日に鰻の蒲焼を売って大儲けした平賀源内や、七五三にお宮参りする人を対象に「千歳飴」を売りつけた商人のように、江戸時代の商売人はずいぶん頭が良く、商魂たくましかったのでしょうね。
○「茶柱」を一家の「大黒柱」と捉えて、大黒柱が立つので、家の繁栄に繋がるので、大変縁起が良いとしました。
○茶柱が立つ条件として、先ずは茎の部分があるお茶葉である事、その茎の部分が上手く急須や茶漉しから湯呑茶碗に出ること、さらに茎の上下の重量差が大きいこと等が挙げられます。
そして、これらの偶然が重なることは滅多にあり得ない、つまり「有り難い(ありがたい)こと」なので縁起が良いとしました。
四つ葉のクローバーに出会う確率は約10万分の一で、非常に「有り難い」ので、四つ葉のクローバーに出会うと幸せになれると言われていますが、同じような理由ですね。
ちなみに、四つ葉には、葉脈の筋が十字架の形になるから幸せになれると言う説もあります。
いずれにせよ、いつの時代にも縁起を担ぎたいのが人の常です。
縁起が良いとなれば、毎日のお茶にもひと工夫ほしいですね。
先ずは玉露や煎茶のような高級茶葉でなく、茎の部分もふんだんに使用する番茶を使用するのもお勧めです。
「番茶」はほうじ茶やその地方の特産のお茶等、幅広いですが、一般的には、夏以降に摘んだ遅摘茶葉を使用したお茶で比較的安価です。
しかし、カテキン、ビタミン、アミノ酸などを含み、多くの効能・効果が期待できます。
日常の生活に気軽にとりこんで見られてはいかがでしょうか?