マナーうんちく話535≪五風十雨≫
満20歳になった成人を祝い、大人としての自覚を促す日が成人式ですが、現在は毎年1月の第2月曜日です。
昔の男子は15歳位になると成人に達したとみなされ、それを祝って服装や髪形を改めた「元服の儀」に由来しますが、毎年全国津々浦々の自治体や企業等で様々なイベントが開催されています。
また、成人式の祝いは、本来は身内で行いますので、特に親しい間柄でなければ贈り物は不要と思います。
但し、身近に該当者がいれば「おめでとう」の言葉でお祝いして下さいね。
身内や職場等で、お祝いの品を贈る場合は、成人式の前か、20歳の誕生日がお勧めです。
祝儀袋は赤と白の水引で「蝶結び」です。
表書きは「御祝」か「御成人御祝」等が良いでしょう。
頂かれた場合のお返しは特に必要ありませんが、お礼はキチンと言って下さいね。礼状をしたためるのもお勧めです。
また、成人式に出席する時には、男性はダークスーツ、もしくは和装の紋つき袴が一般的ですね。成人式用のスーツの決まりは無いと思いますが、ダークスーツが多いようです。
「ブラックスーツは」略礼服とも呼ばれ、名前の通りの真っ黒の無地のスーツですが、「ダークスーツ」とは濃紺かダークグレイのスーツを意味します。
女性は洋装ならワンピースかスーツ、和装なら「振り袖」ですが、最近では振袖が圧倒的に多くなりました。
ところで、振り袖は袖の長い着物ですが、「袖を振る」と言う仕草は、本来は厄を払ったり、身を清めるという意味があったようです。
従って成人式や結婚式などの人生の門出に、振袖を着たら、身も心も清め、凛と振舞いたいものですね。
しかし現実的には、着物を着るのは「七五三」以来で、ドキドキしたり、不安が伴う人も多いのではないでしょうか。
加えて、アドバイスをする側の大人も、それなりの知識や技術を持ち合わせていないので、聞かれても返答に困る人も多いと思います。
昔は子どもが生まれたら「お宮参り」、続いて「753」があり、数えで13歳になると「十三参り」がありました。
この「十三参り」の時には、大人の寸法の着物を着せ、以後この時期に揃えた着物を、事あるごとに着せて、着物の立ち居振る舞いを身につけさせていました。
今の子どもは昔に比べ身長も高く、スタイルも良いので大人の服がそのまま着られる子も多いようですが、本当はこの時期から日本人女性として美しい立ち居振る舞いを教えればいいのですが・・・。
そのためには、先ずは大人が模範を示すのが筋ですが、残念ながら若者の良きモデルになれる大人はすっかり少なくなりました。
ところで、マナーの根源を成す「思いやりの心」には、「他者に不快感を与えない」側面と、「他者に好感を与える」側面があります。
そして、「他者に好感を与える」側面は、指導的立場にある人や大人や親や教師が、部下や若者や子どもや生徒の良きモデルになることが必要です。
その意味では、先ずは大人が素敵なマナーを発揮し、新たに成人になる人の良きモデルになることが大切ではないでしょうか。
美しい振袖姿であふれる成人式には、日本の平和と豊かさを実感できます。
できれば、これにマナーと言う「心の美しさ」も加味して、世界に向けて発信したいものですね。
マナーうんちく話866《成人式と振袖の知識とマナー①》