マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
五穀豊穣、健康長寿、子孫繁栄をもたらして下さる歳神様をお迎えするわけですから、正月は日本人にとって本当に大事な行事です。
お迎えの準備も大変ですが、お持て成しは万全の態勢でしなければいけません。
そしてお持て成しはやはり飲食、つまりご馳走が中心になります。
だから、歳神様のお持て成しとして「お節料理」や「お雑煮」「鏡餅」等、伝統的なしきたりが今も根付いているわけですね。
ところで、お宅はお節料理を用意されるでしょうか?
山陽新聞社の「さん太アンケート」によると約8割が何らかの方法で用意されるそうですが、手造り派が出来あい派より多かったですね。
もともと、お節料理は、普段毎日の家事や料理で忙しく働いている主婦が、「少しでもゆっくり休めるように」との配慮から生まれた料理ですが、現実的には、いつの時代も、正月は主婦にとっては大変忙しいのではないでしょうか?
その代わり1月15日の「小正月」がありますから、この時はしっかり休んで下さいね。
ちなみに小正月は「女正月」ともいわれ、主婦が一息つくための正月です。
また、正月に掃除をしないのは、歳神様を追い払わないためです。
さて、「お節料理」は、もとは季節の変わり目で有る節句に、神様にお供えする料理で「お節供(おせちく)」の略でしたが、それが次第に、正月料理として定着してきて、「おせち」と呼ばれるようになり、正月の祝い膳として現在に至ります。
何をどう詰めるかは、店や家庭や地域でかなり異なりますが、いずれにせよ、縁起の良い食材を使用し、四季を表現するため「一の重」から「与の重」の4段重ねが正式と言われていますが様々です。
特に注目して頂きたいことは内容に込められた素朴な願いです。
縁起物の材料が多く、多様な意味があります。
「黒豆」はマメ(健康)でありますように。
「数の子」は多くの卵を産むニシンにあやかって子孫繁栄を。
「昆布巻き」は喜ぶに通じるように。
「ごまめ」は「五万米」に通じ豊作を。
「田づくり」は豊作になりますように。
「里芋」は子宝に恵まれますように。
「栗きんとん」は金が詰まることを意味するので金運に恵まれるように。
「ごぼうは」しっかり根づくように。
「レンコン」は先の見通しが明るくなりますように等など・・・。
昔の人は、色々となじみの深い縁起物を一つにまとめることで、良い兆しを祝ったり、様々な願いを込めたわけですね。
加えて、厳寒の冬を元気に乗り切るための知恵が詰まった料理でもあります。
古代の慣習や信仰から始まったこれらの縁起物を、「そんなものは迷信じゃがー」と言ってしまえばそれまでですが、何もかも慌ただしい現在、せめてお正月くらいは、社会生活において祖先から継承した、古き良き伝統やしきたりと向かい合ってみるのもお勧めです。
何やら今年は良い年になりそうですよ・・・。