マナーうんちく話535≪五風十雨≫
前回の「桑の葉」に続き、平安時代から重宝されてきた日本を代表するハーブ「しそ」が旬を迎える頃です。
我が家の葉竹にもたくさん生えていますが、わざわざ種をまかなくても、昨年の「こぼれ種」が、そのまま時期になると自然に生えて来るので、とてもありがたいわけですね。
うどんや蕎麦の薬味は勿論、ジュースにしても美味ですよ。
そして、「紅花」が花を咲かせる頃です。
紅花は古代エジプト時代から染料として重宝されてきましたが、主として口紅や衣装などの染料に使用されます。
また、マーガリンや食用油の原料にもなっています。
特に、染料としては、咲き初めに値打があるので、外側から丁寧に摘むわけです。だから紅花は「末摘花(すえつむはな)」と呼ばれます。
末摘花と言えば源氏物語に登場する女性を思い浮かべる方も多いと思います。
美男美女揃いの源氏物語ですから、末摘花も、さぞかし美しい女性だと想像しがちですが、彼女に限っては、お世辞にも美女とは言えません。
やせ形で、座高が高く、細長い顔立ちで、その上、鼻が赤い不細工な女性ですが、れっきとした皇族の一人娘です。
そして、末摘花とは、「ハナが赤い」ということと、末摘花の異名がある「ベニバナの赤」を引っかけて、源氏が付けたあだ名です。
しかし、そんな彼女ですが生涯源氏と関わった女性として有名です。
どうやら、「女性は顔だけではないぞ!」と源氏に気付かせた、何か特別に魅力的な物を持ち合わせていた女性なのでしょうね。
女性に限らず、男性でも、見かけの他にも、何か優れた要素を持ちたいものですね。
つまり、外面的な要素もさることながら、内面から磨きをかけることですね。
確かに、顔が素敵だから好きになるケースも有りますが、それで長続きするでしょうか。
では、結婚する際、顔と性格どちらを重要視しますか?
このことは、恋愛において以前から議論され続けてきたテーマですが、これに、社会的地位とかお金が加味されれば、なお選択肢は多くなり複雑になります。
しかし最終的には「人柄」、つまり「心の美しさ」がモノを言うと思います。
男性で有れば、男らしさ、優しさ、心の広さ、褒め上手、マメであるような事が女性に受けるかもしれません。
一方男性からすれば、家庭的、謙虚さ、明るく優しい、前向き、気配りが出来る、礼儀正しい女性を選ぶかもしれませんね。
しかし、心の美しさは外見に比較して、なかなか目立たない、理解しずらい、という難点があります。
そこで、強力な武器になるのが「前向きの挨拶」や「美しい言葉遣い」です。
昔から「色の白いのは七難隠す」と言われます。
「七」は数が多い、「難」は欠点とか短所の意味です。
つまり、色が白ければ、性格の悪さ、教養の無さ、声の悪さ、顔の悪さ、運の悪さ、色気無さ等、多少欠点があってもカバーできると言う意味です。
それと同じことが、「美しい挨拶や言葉遣い」にも言えます。
挨拶やスピーチ等が良いと、第一印象が極端に上がり後に期待が持たれ、豊かな人間関係を築くことができます。
特に、丁寧な挨拶が出来、言葉遣いの美しい女性は魅力的です。
末摘花は、油や染料の他にも、婦人病に良く効く薬用としての用途も有る、女性にとってたいへんありがたい花です。