マナーうんちく話494≪和顔愛語≫
日本語は世界屈指の美しい言葉だと言われておりますが、同時に難しい言葉でもあります。
私も半世紀以上日本語のお世話になっていますが、難しさは全然変わりません。
理由は漢字が多すぎる点です。
しかも、その一つ一つに、そこに込められた意味があり、読み方があります。さらに、その読み方も前後の文章により異なる場合があるので、これを全て理解するとすれば大変です。
日常使用している日本人でさえそうですから、アルファベットで生活してきた外国人にとっては、さらに難しくなりますね。
くわえて、日本語は、他の言葉に訳すことが不可能な微妙なニアンスを含んでいることも、難しさに輪をかけています。
また、「アルバイト」「パート」「クールビズ」「ウオームビズ」のような和製英語も有りで、もうたまりません。
そして敬語です。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があり、第4の敬語と言われる「美化語」まで含めると、自由に扱える人なんか、いないのではないでしょうか。
日本語は美しいが故に難しいともいえますね。
美人になるのも難しいですが、良く似ています。
しかし、何もかも恵まれている日本人は、美人になるために、あらゆる努力をしています。
ダイエットや美肌を手に入れるためには、時間や労力やお金を惜しむことなく使います。
美しい髪型やファッションにも大変敏感です。
では日本語についてはどうでしょう。
美しい言葉をしゃべるための努力は、それほどしているとは感じません。
難しさを避けて通ることの方が多いと思います。
だからいつまでたっても、美しい言葉を発することが難しいわけですね。
美しい外見に比例して、美しい言葉をしゃべることが出来ればいいのですが、なかなか両立は難しいです。
ところで、美しい言葉をしゃべりたいために、積極的に「お」を付けることがありませんか?
「お」は美化語の一つで、物ごとを丁寧で、より上品にする効果がありますが、付け方に厳密なルールはありません。
個人差や性差が多いのが現状ですが、乱発は感心しません。
また、「お」を付けない方が良い言葉もありますので注意して下さい。
例えば「ジュース」、「ソックス」、「テレビ」のような外来語もそうです。
「オジュース」「オソックス」「オテレビ」ではさまになりませんね。
長い言葉にも「お」は不向きです。
そして、言葉の内容が良くない言葉にも付けません。
例えば「ゲップ」「便秘」等に「お」を付けると、「おげっぷ」「お便秘」になり、意味そのものが不明になります。
人は常に美しくなりたいもので、髪型、メイク、ファッションなどのお洒落に神経を注ぎます。見た目は大切ですから大変良いことだと思います。
但し、見た目のお洒落が完成したら、心のお洒落もそれに追従したいものですね。そのためには、言葉もお洒落に飾りたいものです。
言葉のお洒落とは、「美しい言葉遣い」と「内容」です。
いくらお洒落な言葉を連発しても、聞き手が不快になる内容ではいけません。
相手の立場に立ってしゃべる、不快感を与える言葉は発しない。
要は、しゃべり手の心ではないでしょうか?
つまり、「お洒落な言葉」とはマナーにのっとった言葉です。