マナーうんちく話464≪「おいとま」と「お見送り」のマナー≫
畑仕事をしていると蛙を良く見かけるようになりました。
前回ホトトギスの話題に触れましたが、ホトトギスに続き、地上からは蛙の鳴き声が聞こえてくる頃です。
蛙は昔から日本人にはなじみが深く、「鳥獣戯画」にも登場します。
また、縁起の良い小動物とされています。
蛙には、元に返る習性が備わっているので、「カエル」の語呂合わせと重なり、「別れた嫁が返ってくる」「無くし物が返ってくる」「無事帰還する」に通じるからです。
これから梅雨にかけて、蛙の元気の良い鳴き声が聞こえてきますが、蛙たちも恋の季節を迎えているわけで、梅雨時の風物詩ですね。
ちなみに、小さい時に「○○○がなくから帰えろ!」と言いましたが、○○○に該当するものが地方により、「蛙」や「カラス」と異なるようですが、如何でしょうか?
ところで、他家や他社を訪問した時に難しいのが「帰るタイミング」です。
一番良いのは、訪問の予約の際に、何時から何時までと言うようにあらかじめ時間を決めておくことです。
時間を決めていなかったら、用事が済んだ時がそのタイミングになりますが、いきなり、おいとまを切り出すのも気が引けるので、お茶のお代わり等を勧められた時が良いでしょう。
もてなす側は、おいとまを切り出されたら、一旦引き留めた方が良いかどうか?迷うところですが特に決まりはありません。
自分の気持ちに素直に従えばいいでしょう。
つまり、客人に早く帰って欲しかったらそのままお見送りすればいいし、もう少しいて欲しかったらそのように言えばいいでしょう。
また、客人がなかなか帰る気が無くて困るようでしたら、「蛙が鳴いているのでお帰り下さい」とは言えませんので、相手のこれからの都合を聞くことです。
例えば、「今3時ですが、○○様のこれからのご予定は如何ですか?」と伺えば、大抵の場合は気がついてくれます。
それでもダメなら、きちんと自分の予定を伝えればいいでしょう。
そして、来客がそろそろ帰る頃には、迎える側は、玄関の正面に客人の靴を揃えて置くことが大切です。
靴の間隔を数センチくらい離して揃えておけば履きやすくなります。
訪問した際の帰り際で、特に注意して頂きたいのはスリッパです。
玄関で出口の方に向かってスリッパを脱ぎ、次に自分の靴を履きます。
靴を履き終えたら、脱いだスリッパの向きを変えて、即ち家の中の方に向けて端に揃えます。
この際、スリッパをスリッパ立てに立てる必要はありません。
客人が使用したスリッパをキチンと片付けるのは、迎える側の仕事です。
それから、外に出るわけですが、大切な客人だったら家の外まで出てお見送りするのがお勧めです。
挨拶を交わして見送りますが、見送られる側は暫くしていったん振り返る事をお勧めします。
見送りする側も、客が振り返るまでは笑顔でお見送りして下さいね。
見送りをするのは、応対した人すべてが理想です。
職場によっては、挨拶が済んだら上位者はさっと引っ込み、下位者のみの見送りなる所も有りますが、これは感心しません。ここに上位者の品格が出ます。
訪問する時には、初めの態度も大切ですが、「終わり良ければすべてよし」です。別れ際を大切にして下さい。
商談が上手くいかなかった時こそ丁寧にして下さいね。
さらに、帰社(帰宅)してからのお礼もお忘れなく。