マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
《いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)》
5月になるとアヤメや菖蒲やカキツバタのシーズンになります。
5月5日の端午の節句は「菖蒲の節句」とも言われ菖蒲湯に浸かりますね。
ところで、「アヤメ」も「ショウブ」も漢字で書くと「菖蒲」です。
でも、アヤメもショウブもカキツバタも違います。
しかし、菖蒲も杜若も凛とした品良い美しさを備えているので、どちらが菖蒲か杜若か解らない、つまり甲乙つけがたい美しさのたとえで使用されます。
本来は、いずれ劣らぬ美女が複数いる時に使用していましたが、今は良く似ているので、どちらがどちらか解らない時に使用されます。
但し、単に似ているだけではいけません。
どちらも美しいと言うことが前提条件です。
《大和撫子》
「大和」は日本の異称で、「撫子」はなでるように可愛がっている子どもの意味です。
では、「大和撫子」はどんなイメージでしょうか?
一般的には、上品で清楚な美しさがあり、かつ一本芯の通った凛とした女性を意味します。
男性優位の時代にできた言葉ですから、男性より一歩後ろを歩くような女性の例えです。
具体的には、美しい肌、美しい髪、美しいファッション、美しい立ち居振る舞い、美しい言葉遣い、そして教養や礼儀作法を兼ね備えた女性でしょうか。
単に学校の成績が良かっただけではいけません。
要は身も心も美しい女性です。
ちなみに、時代が異なれば、花や女性の好みも異なります。
例えば万葉の時代は、最も人気の有った花は「萩」です。
万葉集には100種を超える花が登場しますが、一番多く詠まれている花は萩で141首、次は梅で118首です。
今の日本人に最も人気のある桜は46首です。
従って、万葉の時代には、萩のように、なよなよして控えめな花が好まれたようです。
姿かたちが美しくて、思わず保護したくなるような美しさを「可憐」と表現しますが、当時は、控えめで、なよなよした萩の花のような可憐な女性が好まれていたのでしょうね。
恋しい人と萩の花を見物し、萩の枝を折って髪飾りにしていたそうです。
日本は今、貧しかった当時に比べると比較にならないほど豊かになり、華美になってきましたが、その反面、昔には想像すらできなかったような多くの矛盾が発生しています。
「牡丹」「菖蒲」「杜若」「大和撫子」「萩」のような美しさは時代にそぐわないかもしれませんが、折角のゴールデンウイークです。
日本人本来の「素朴な美しさ」に親しむのもいいですね。
加えて、身も心も美しい女性にとっては食卓の在り方がとても大切です。
賢くて楽しい食卓づくりに励んで下さい。