マナーうんちく話521≪お心肥し≫
「1月はいぬる、二月は逃げる」と言いますが、最近特に月日がたつのが早くなった気がしますが如何でしょうか?
ところで、2月は旧暦で「如月(きさらぎ)」と表現しますが、この意味は草木の芽が生えいずる頃と言う意味です。
また、草木の芽が生えいずる頃だけど、まだ大変寒く、衣服を更に着なければならないという意味の「衣更着(きさらぎ)」とも書きます。
重ね着をしながら寒さに耐える頃ですが、確実に春の足音が聞こえて来る時ですね。理想を持って前向きに歩んで参りたいものです。
ところで以前にもお話ししましたが、中国では四季を色で分類していました。
それによると、春は新緑の季節ですから「青色」、夏は太陽の色である「赤色」、秋は収穫を終えた後の色である「白色」、そして冬は空の雲が黒くなるので「黒色」となります。
この色はしばし人生にも例えられます。
春の青色は人生で言えば「青春」そのものです。
新緑が萌えいずる頃は躍動の季節で、ワクワク、浮き浮きします。
そして、青春と言う言葉は大変エネルギッシュで、前向きの気持ちが漂います。
「青春とは、人生のある期間を言うのではなく、心の様相をいうのだ。優れた想像力、逞しき意思、炎える情熱、・・・。」
そして、「人は年を重ねただけでは老いない。理想を失った時に初めて老い始める。」という内容のアメリカの文人サミュエル・ウルマンの詩があります。
第2次大戦終了後に日本にやって来たマッカーサー元帥や松下幸之助を始め、偉大な人が座右の銘にした名言だけあって心に響く言葉で、日本でも多くの人に今なお親しまれているのではないでしょうか。
早い話、「人は理想を持ち続ける限りは何時までも青春でいられる」というわけですね。
自然の四季は同じように移ろい、青色⇒赤色⇒白色⇒黒色となびいていくわけですが、人の移ろいは必ずしもこの方式通りではなく、個人差が激しく、万年青春の人もいれば、青春はわずかの期間で、いきなり黒色になる人もいるかもしれませんね。
この「青春の詩」は、サミュエル・ウルマンが70歳代の頃に作った詩だと言われていますから、今から約100年前でしょうか。
当時の平均寿命はせいぜい50歳前後でしょうから、平均寿命が80歳を超えている現代人はなおさら、心の様相を整えなければいけませんね。
特に高齢者の特徴は個人差が大きいと言うことです。
概ね65歳以上が高齢者と呼ばれているようですが、65歳で現役の人もいれば、認知症で介護の世話を受けたり、病気になっている人もいます。
学校を卒業して社会人になってからの、一日一日の積み重ねが、ある年齢に達する頃には、大きく状況が変化すると言うことです。
日々の生活習慣を大切にしつつ、自分なりの理想を持ち続け、人生を前向きに歩んで頂きたいと思います。
但し、人生を四季に例えるとしたら、何も春、即ち青春時代が一番幸せとは限りません。
若い頃に苦労して、中年になり真っ赤な花が咲く時が来るかもしれません。
また、その花が実を付けて収穫の喜びがやってくる場合も大いにありえます。
花が実を付ける秋は白色ですが、白の秋、つまり「白秋」は人生で言えば熟年世代とでもいいましょうか、私自身も丁度この時期ではないかと思っています。
ちなみに「白秋」と言えば、「北原白秋」を思い浮かべる人も多いと思いますが、まさにここから付けられた名前だそうです。
白秋のようにはいかないにせよ、素敵なマナーで、次世代に美しい花を咲かせる種をキチンと残しておきたいと思っています。