マナーうんちく話521≪お心肥し≫
クリスマス商戦たけなわですが、クリスマスのイベントが日本に入ってくる前までは、年末の風物詩である羽子板市で賑わう頃です。
羽子板は、邪気を払い、魔除けの縁起物ですが、羽子板の羽根が害虫を食べてくれるトンボに似ているので、女の子どもの健やかな成長を祈念する縁起物になったようです。
そして今では、クリスマスや年の瀬の市が賑わう頃ですね。今年は景気の回復とともに、消費税の駆け込み需要も重なり、より盛況のようでなによりです。
ところで、「御客様は神様です」と言う言葉をご存知でしょうか?
今から約半世紀前に登場した、日本を代表する演歌歌手三波春男さんの有名なフレーズです。
「客は金を払う立場だから何をしても良い」と誤解している人もいますが、本来の意味は、お客様の前では、「神前で祈る時のように心を真っ白にしなければ、完璧な芸をお見せすることは不可能です。だからお客様は神様なのです」と言う意味だそうです。
最近、すっかり定着しましたが、「顧客満足」と言う言葉が有ります。
今から約30年前にアメリカで生まれた概念ですが、商品やサービスを提供する側に求められる心構えです。
しかし、客になった時は、それに甘んじることなく、素敵なマナーを発揮しなければいけません。
例えば、専門店に買い物に行く際には、服装を整える、靴を磨く、手を綺麗にする、大勢でいかない等の気配りは大切です。
さらに、店員が「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれたら、「今日は」とか「お世話になります」「チョッと見せて下さい」の言葉は掛けて下さいね。
この時、よく頭だけ下げる人がいますが、何もしないよりはいいですが、キチンと言葉で発するようにして下さい。
そして、希望する商品が有れば、「冬物のスカートが欲しいのですが」等と、声を掛ければいいでしょう。探して解らない時に声を掛けるのではなく、先に声を掛けた方が良いですね。
また、特に希望する品物が無ければ、「ちょっと拝見させて下さい」と声を掛ければいいでしょう。
商品は丁寧に扱って下さいね。
出来れば店員に、「どうぞ手にとってご覧ください」と言われて、商品に触れるくらいの気持ちを持つことです。
また、解らない時には聞くことです。
専門店のスタッフは、それなりの感性や知識を持っています。
さらに、お金を支払う時には、特に笑顔で「ありがとうございました」の挨拶をして下さいね。ここに品格が出ます。
最後に、接客してくれたスタッフと仲良くなることです。
名前は是非覚えて、次回はその人を指名すればいいでしょう。
そのスタッフや店にとって、あなたは特別なお客様です。
「お客様」とは、「客」に「お」と「様」が加味されます。
本当のお客様、つまり好感の持たれる客は、沢山買ってくれる客、高い物を買ってくれる客ばかりではありません。
むしろ「マナーの良い客」が「好感の持たれる客」だと考えます。
加えて、「売る側」と「買う側」には、上下の隔たりは有りません。
あくまで対等です。
そして、サービスを提供する側と、サービスを受ける側の潤滑油になるのがマナーです。
だから、マナー美人は買い物上手です。