マナーうんちく話494≪和顔愛語≫
今日から9月。これから次第に夜が長くなってくるので、9月の事を「長月」と言います。
そして、今年の9月1日は立春から数えて210日目で、農家にとっての厄日です。稲の収穫を控えて、台風にやられては大変なので、暦の上で、皆に注意を呼びかけている「雑節」の一つです。
そういえば、この時期、全国津々浦々で、「農作物を風から守るお祭り」が開催されていますね。現在のように、大雨や大風を予測できなかったので、農家の人達はこの日を「特異日」として事の他恐れ、供えたわけです
大風、大雨、大雪、さらに干ばつ等という大自然の脅威に対して、常に受け身でしかありえなかった、当時の人達が出来ることと言えば、自然に対して真摯な気持ちで祈る事だけです。これは個々に行っても無意味ですから、大きな行事として皆で取り組むわけで、余計に絆を深める必要が有ったわけです。
それに比べ、現代は科学が進歩したおかげで、自然の脅威にそんなに恐れることは無くなりましたが、反面、人間関係が希薄化したり、複雑になってきた気がします。
昔も今も、人は一人では生きていけません。
加えて、自然に逆らうこともできません。
常に人や自然と仲良く共生することが大切ですが、とりわけ現代では、死ぬまで、人間関係の悩みは付きまとうようですね。
盆・正月・お彼岸などの年中行事の意義が薄れ、加えて核家族化が進展してきたせいで、親族や家族間の絆が薄れ、孤独死や無縁社会と呼ばれるキーワードが生じました。
さらに、学校や職場における人間関係が深刻化しました。
特に、生活の糧に成る、職場の中での人間関係は、人生そのものに多大な影響を及ぼします。
中途退職者が後を絶ちませんが、殆どの職場における退職理由は、寿退職や定年退職を除いては、人間関係ではないでしょうか?
これは大変由々しき事態です。
職場における人間関係は、なにをさておいても大切にしなければなりません。
しかし、職場の人間関係は、大切ですが、大変難しいのが現実です。
どんな組織であれ、自分にとって「嫌な人」は、一人や二人はいるものです。
同僚・先輩・上司のみならず、お客様の中にも存在します。
嫌な人との接触を、避ける事が出来れば事は簡単ですが、世の中そんなに甘くは有りません。それなりの対応が必要です。
嫌な人に対する「考え方」を改めてみるのも一つ手です。
嫌な人は自分の人間力を高めてくれます。
「自分磨き」だと割り切って、嫌な人ほど、優しく丁寧に接することをお勧めします。特に、挨拶は手抜きしないでください。
嫌な人から、嫌な事をされたり言われたりすると、誰しも頭にきます。
そこをグッと我慢して、深呼吸でもして、あえて丁寧に接することで、人間が磨かれ、心豊かに生きる基礎ができます。
加えて、職場で良好な人間関係を築くために、不必要に相手と合わせようとする人が多いように思います。
ある程度は仕方ないにせよ、全てがそうであれば神経が擦り減ってしまいます。
自分が正しければ、不必要にその人に合わすことなく、相手に合わさせることも大切です。「和する」とは、主体性を堅持しつつ、他者と協調することです。
また日本には、「ホンネ」と「タテマエ」が有ります。
「言葉の裏」を、素早く感じ取るスキルも身に付けて下さいね。
今日から「実りの月」のスタートです。
実り多い人生を実現するには、豊かな人間関係が必要不可欠です。
そのためには、素敵なマナーを身につけることをお勧めします。
「嫌な人」が「好きな人」に変わるかもしれませんよ。