基礎から指南!接客・接遇マナー14≪相手の話を「聴く力」≫
このコラムは33年間に及ぶホテルでの接客の経験、通信教育・講演・講座・書物から得た知識、及び指導経験に基づき、私の視点でお話ししています。
そのような経験や知識を交えて、接客・接遇に携わる人に一番お伝えしたい事は、先ず「自尊心」を持つことです。
おかしな自惚れやプライドではなく、自分を大切にして下さいと言うことです。
自分を大切にすると言うことは、自分の「気持ち」と「身体」を大切にすることです。
《マナーうんちく話》でも度々触れましたが、「衣食足りて礼節を知る」と言う諺が有ります。
人の世話をするには、「自分が充実していなければいけない」と言う意味です。
ある目的を持ってこられたお客様に対して、心を込めて、おもてなしをするのが接客・接遇の基本ですが、それを「ホスピタリティ」と言います。
そして、その意識を持つことを「ホスピタリティマインド」と表現し、これについては、順次詳しく触れて参りますが、お客様に、心を込めて、おもてなしができる大前提は、自分自身が、心身ともに充実している必要が有ります。
自分の気持ちが充実していなければ、とてもお客様の気持ちを理解することはできませんよね。
さらに、風邪をひいたり、二日酔いになったり、歯が痛たかったり、花粉症になったりして、体調がすぐれない時には、お客様に笑顔で接することは、なかなかできません。
特定の仕事を除き、体調不良で、マスクを着用したり、衣服を重ね着したりすれば、お客様に不快感を与えることにもなります。
夫婦や家族円満に心がけたり、色々な人と良好な人間関係を築いたりするスキルも必要です。
ちなみにこの項目については、併せて「マナーうんちく話」《良好な人間関係のマナー》を参考にして下さい。
接客・接遇マナーは単独ではお話しできません。
色々な要素が複雑多様に組み合わさっています。従って、同時連載中の《マナーうんちく話》共々お付き合い頂ければ嬉しいです。
さて、話しの続きになりますが、自分の気持ちを大切にするには、ストレス緩和方法を身に付けることも大切ですが、ストレスに強くなることも大切だと考えます。
ちなみに、私は結婚式の仕事が長かったせいか、常にストレスは付き物で、いちいちその都度ストレスを緩和するより、ストレスそのものに強くなることを心掛けてきました。これについては又機会が有ればお話しいたします。
さらに、バランスの良い栄養、休養、運動、睡眠の改善など、いわゆる日頃の生活習慣を出来る限り正すことはとても大切です。
このようにして、自分自身を大切にしたら、次に自分の大切な人、つまり伴侶・家族・友人等を大切にして下さい。
伴侶・家族・友人の事を好きになることです。
そして、職場の仲間を大切にして下さい。すなわち、仲間を好きになって下さい。こうなると、お客様を好きになり、お客様を大切にすることが可能になります。
接客・接遇を支えるのは、その人の人間力が大きく影響します。
来られたゲストが、「良かった」、「また来たい」、と言う気持ちになるには、安心感や満足を提供しなければいけません。
そのためには、接客・接遇係が不満足では無理だということです。
つまり、「顧客満足」には「従業員満足」が必要だと言うことです。