マナーうんちく話537≪苺は本当に果物?それとも野菜なの?≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

ますます緑が濃くなり、光にまぶしさが感じられるようになってきました。
この時期になると蛙が泣くようになります。
オスがメスの蛙に恋をして泣くわけです。
動物の世界にはよくあることです。

そして露地物の苺が美味しい時期でもあります。
今や日本では、苺はお年寄りから子供の大好物で、一年を通して出回っていますが、苺の旬は実は今頃です。

日本でもすっかり「Strawberry」として根付いていますが、「straw」は麦で「berry」は小さな果実の意味です。そして、野生イチゴは別として、現在のような苺は、江戸末期にオランダから長崎に伝えられたのが起源だそうです。
そのなごりでしょうか、いまでも「オランダイチゴ」といいますね。

しかし、当時はその赤色の実は血を表現し、日本人にはあまり受けなくて、本格的に食べられ始めたのは戦後です。

ただ、当時はとても高級品で、ごく一部の人しか食べられませんでしたが、昭和30年にビニールハウス栽培が確立し、苺の生産量が大幅に増え、一般庶民にも食べられるようになりました。
そして、世界一の「飽食の国」になった今の日本の、苺の生食での消費量は世界トップクラスです。

ところで、これだけ好まれている苺ですが、「果物」か?「野菜」か?どちらだと思いますか?

これには、実に多くの分類方法が有ります。

最初に、「果物」の意味は「木(く)の物」、つまり木になる果実を意味します。
つまり、果物のキーワードは木になる実です。

一方、野菜とは「食用になる草本性の食物で、加工の程度の低いまま副食物として利用されるもの」と有ります。
この理屈でいけば、苺は野菜です

また、「果物」は実だけを食べ、「野菜」は色々な所を食べると言う考えもあります。例えば、人参・大根・ごぼうは根を食べ、レタス・白菜は葉の部分を食べますが、果物は実だけを食べます。
この理屈に従えば苺は野菜です。

さらに、「野菜」は一年草もしくは2年草で、収穫が終わると全て畑から消えますが、「果物」は同じ木に何年も成り続け維持管理も必要です。
従ってこの理由からすれば苺は野菜になります。

さらに園芸学では、「野菜」を副食物として利用する草木類の総称として定義しているので、苺は野菜となります。

一方、消費者や流通関係者の感覚では、苺は果物です。

また、販売している店では、苺は果物として扱われています。
フルーツショップでは、ダイコンは有りませんが苺は年中扱っています。

さらに、食べ方としての分類では苺は果物です。
「野菜」はご飯のおかずとして食しますが、苺は「フルーツ」や「デザート」として供されます。フランス料理のフルコースでも、苺は魚や肉の料理の付け野菜ではなく、デザートもしくはフルーツとして供されます。

加えて、手土産や見舞いに「果物」は持参しますが、普通「野菜」は持っていきません。この理屈では苺は果物です。

メロン、スイカ、イチゴなどはしばし、果物か野菜か議論の対象になりますが、学問上では野菜、しかし感覚的には果物ですね。

何事も杓子定規にならずに柔軟に対応したいものです。
そして、果物、野菜に関わらず、食べ残しをする事無く、感謝の気持ちで、美味しく、楽しく食べることが最高のマナーだと思います。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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