マナーうんちく話485≪上座に勧められたら、どのように対応する?≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:訪問ともてなしのマナー

ホテルで長年レストラン、宴会、結婚式の仕事に携わっていたら神経を使うことは多々ありますが、中でも人と人とが交わる時の、順番や位置関係を決めるのは容易ではありません。

「こうしたほうが良いよ!」という一応のしきたりやマナーなどは存在するものの、時代の急激な変化と共に、何もかも複雑多様化したり、価値観や考え方が変わっているので、判断基準がますます不透明になりつつあります。

しかし、そのような中でも、良好な人間関係を築くためには、今なお大切にしなければいけないのが、今までお話しした「上座」と「下座」の理念です。

特に、国際化の進展と共に、海外の国や地域と直接交流する機会が増加している中、自国の文化・歴史・礼儀・作法の素晴らしさを理解すると共に、相手国の文化にも敬意を示すことが求められます。

さらに、幅広く客人を迎え、もてなすに当たり、プロトコール(国際儀礼)の原則にそった、もてなしの心をキチンと表現できることも必要です。

ちなみにプロトコールの基本は、「異文化の尊重」、「序列の大切さ」、「右上位」、「返礼」、「レディーファースト」等がありますが、さらに「表敬訪問」や「レセプション」などにおいては、国旗掲揚や席次に関する細かい規定が有り、序列が厳しく問われています。
※この件については、また後日触れて参ります。

ところで、公私に渡り、お宅や職場を訪問した時に、「上座」に勧められ、どのように対応したら良いか?迷われた経験は有りませんか?

勿論、訪問の目的や、相手との年齢や立場の違い等にもよりますか、素直に受けるか?いったん遠慮するか?迷うところですね。

会議や食事会等で、予め席が決まっている場合はスムーズですが、決まってないような時には、日本人は往々にして末席に行きたがる傾向にあります。

特に立食パーティーでは、入り口近くに集中しがちのケースが多く見受けられます。
謙虚で良いようですが、時と場合によります。
臨機応変に対応して下さい。

なお、国際交流のような場合は、前述したプロトコールの基本に従われるのが良いでしょう。
このような場合には、「奥ゆかしい」とか「謙虚」な態度は無用と考えます。

また、「洋の雰囲気」の場合は、会議でも食事でも、上座に勧められたら「遠慮しないこと」が大切だと思います。

特に、プライベートシーンにおいてはレディーファーストの原則に従い、男性が優しくエスコートしてくれたような場合、女性は「ありがとう」の言葉と共に素直に受けて下さいね。

加えて、立食の場合等で、先に入った人が遠慮して入り口に留まってしまったら、後が停滞します。係の誘導に従って下さい。

会議でも、下座は入り口に近いですから、そこに先に座れば邪魔になる場合も有ります。

但し、若者や立場の低い人が勧められないうちに、自ら進んで上座に行くのは感心しません。

そして、和室は注意が必要です。
このコラムでも何度もお話ししましたが、和室は昔の事を大切にする空間です。
どんな地位の高い人でも金持ちでも、人から上座を勧められたり、乾杯の発生の音頭や挨拶等の名誉な事を勧められたら、いったん辞退し、他の人に勧める風習が有ります。

非常に不合理に思えるかもしれませんが、「謙譲の美徳」と言う、日本ならではの美しい文化です。

乾杯の発生の音頭を求められたり、上座に勧められたら、一度は遠慮される事をお勧めします。
そして、それでも勧められたら、「それではお言葉に甘えて」と言って従ったらいいでしょう。

要は、私は「遠慮する心」を持ち合わせていますよ!と言う表現が大切だと言うことです
但し、予め進行表や席次が決まっている場合はこの限りではありません。



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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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