マナーうんちく話483≪現代の上座と下座②「和室編」≫
「訪問」と「もてなし」の「仕方」と「され方」は、プライベートでもビジネスシーンでも、非常に関心が高い分野ですが、特に「もてなしの仕方」に精通されていたら、大変好感度が高まり、公私に渡り良好な人間関係が築けます。
今回は今までの言葉足らずも補足しながら、出来る限り簡単明瞭に纏めてみますので参考にして下さい。
ビジネスでもプライベートでも、アポなしの来客なら多少は致し方ないにしても、予約客を待たせるのはとても失礼に当たります。
ビジネスシーンでしたら、来客を取り次ぐ人が、予約が有るか否かを確かめ、予約している客で有れば、玄関先での挨拶は手短に済ませ、直ちに部屋に案内します。
但し、たとえ予約が無い客でも、無愛想な応対はしないで、丁寧に接して下さい。ここに、その職場の品格が出ます。
また、出来る限り「お待ちしておりました」とか、「寒い中ありがとうございます」とか、「雨の中ごくろうさまです」等と、相手を思いやる言葉を掛けて下さい。
この「暑い中」とか「雨の中」等と言う言葉は、来客にとってはとても心地良い響きになり、好感が持たれますので、出し惜しみせず積極的に発して下さい。
そして、いずれの場合も客間に案内したら、出来れば、来客の好みを聞いて、飲み物を用意いたします。
初対面の客で好みが伺いにくかったら、日本茶だったら先ず無難です。
コーヒー紅茶はたまに飲まない人もいますので・・・。
ケーキや菓子を添える場合は、和室にせよ洋室にせよ、飲み物が右、菓子類は左に置きます。これは覚えておいて下さいね。
もし、来客が約束の時間より早く着たら、約束の時間まで待って頂いても失礼ではありません。臨機応変に対応して下さい。
また、家庭内で訪問客をもてなす時に、たとえ仲の良い客でも、夫の不在の時に、妻が他の男性と部屋の中で、1対1で応対するのはお勧めできません。
また来客の居場所ですが、洋室でしたら長椅子が上座になりますし、和室でしたら床の間の前が上座で、出入り口に近い場所が下座になります。
但し、炎天下の中や、極寒の中を歩いて来られた客には、冷房や暖房が良く効いた場所が上座になりますから、「本来でしたらこちらが上座ですが、ここが一番温かい場所ですから、こちらにどうぞ」等と言って進めて下さい。
この場合に、言葉足らずでしたら、かえって気を悪くされますので、くれぐれも注意して下さい。
さらに、炎天下の来客には、おしぼりや冷たい飲み物が喜ばれるし、寒い日のもてなしには、あらかじめ客間に暖房を入れておくような心配りも大切です。
雨の日で有れば、傘立てやコート掛け、あるいはタオルやお絞りの準備も喜ばれます。
加えてお歳寄りの場合は、尊敬といたわりの念を常に持ち、真心こめてもてなして下さい。
最近は高齢化が進展し、ひざが悪い人も多いようですから、和室などでは、くれぐれも注意して下さいね。
座布団や椅子は好みを聞いて下さい。
改まった訪問客を受け入れるに当たっては、客人が、座ったり立ったりする場所がとても大切です。
特に日本は何事につけ序列を重要視します。
そこで、後日改めて現代の「上座」「下座」に触れて参ります。