マナーうんちく話521≪お心肥し≫
間もなく「土用丑の日」ですね。
世界一鰻を食す日本人にとって、この日は特別な日です。
鰻を食しながら「うんちく」を語っていただければと思い、鰻についてのお話を、今日と明日、2回に渡り進めてまいります。
日本人にとってウナギはとてもなじみの深い魚で、すでに5000年前頃には食されていたようです。
さらに日本最古の歌集、万葉集にも登場しています。ご存知の方も多いと思いますが大伴家持の鰻好きは有名です。
そしてすでに、この頃には、鰻はとても栄養価が高く、夏バテにとても良く効くことが解っていたようです。
但しこの頃の料理は、「かば焼き」ではなく、「白蒸し」だったようです。
さて、話は振り出しに戻りますが、再度ここで、「土用丑の日」とは、どんな日なのか?と言うことをお話ししておきます。
本来は、立春、立夏、立秋、立冬の前、約18日間を「土用」と言いますが、現在は、立秋前の約18日間を示す場合が多いようです。
そして、その約18日間の中で、暦の十二支(じゅうにし)の内の「丑の日」のことです。今年は7月27日(金)になります。
ちなみに、十二支は「子丑寅卯辰・・・・」のことです。
ところで、江戸時代は平安時代に続き、政権が安定し平和な時代が長く続いたわけですが、平和が長く続けば、それに合わせ多様な文化が生まれます。
実はこの頃、江戸は世界一の人口を抱えており、今で言う「外食産業」が栄えました。最も、この頃は、台所事情はとても貧しく、しかも独身の男性が多かったので、どうしても外食に頼ったのでしょうね。
うどん・そば・すし屋等と共に、仕出し屋、料理屋、さらに日本を代表する高級料理店も登場してきた頃で、このようにして、江戸の食文化が豊かで華やかになっていくわけです。
しかも「鰻の蒲焼」等とも関連が出てきますが、魅力的な味の「濃い口醤油」が開発され、食文化が飛躍的に発達します。
つまり、鰻、蕎麦、寿司、天婦羅などを一躍人気料理にした大きな要因は、味付けに有りますが、それに大きく貢献したのが濃い口の醤油の登場です。
ちなみに日本で料理が確立されたのは、平安時代だとされていますが、当時の料理は、「塩」「酢」「酒」等が味付けに使用されていたようです。
しかし、夏の暑い時期には、どうしても客足が遠のきます。鰻屋しかりです。
そこで、なんとか、売り上げを確保する知恵は無いものか?と鰻屋の主人が、当時のマルチ学者平賀源内に相談したところ、土用は「う」の付くものを食べるのがいいけど、特に「丑の日は鰻を食べる日」にしたら?と知恵を授けてくれたわけですね。
そこで、「丑の日」に、「今日は土用の丑の日!鰻を食べる日です」というようなキャッチコピーを表に張り出したところ、千客万来になったので、我も我もと言うことで、他点が次々とそれに倣い現在に至っています。
以上の他にも、土用の丑の日にウナギを食べるようになった理由は、いくつか説があるようですが、平賀源内説が一番有力のようです。
次回は「蒲焼き」についてのお話しです。