マナーうんちく話535≪五風十雨≫
昔は、大晦日の夜に親方・親・本家等に集まり、皆で正月を迎えていたわけですが、時代と共に、各々の家で正月を迎えるようになったため、親方・本家・世話になった方に「年始回り」を行う必要が出てきて、それが現在に至っています。
ただ、現在は何もかも多様化し、正月の迎え方も千差万別になってきましたので、事前の下調べをした上での年始回りをお勧めします。
「年始の挨拶の仕方・受け方」のマナーについて解説しておきます。
●年始回りに伺う際のマナー
・伺う先は、上司、仲人、実家、日頃お世話になっている目上の人が対象です。
・一応、年始の挨拶は元旦を避け、「松の内」にすれば良いとされています。
時間帯は午前10時頃から午後4時くらいがいいと思います。
・あらかじめ予約をする必要は有りませんが、伺う所により臨機応変に対応して下さい。
最近は予約を入れるケースが多いようです。
・本来は、予約をしないで構わない性格の訪問ですから、玄関先で手早く済ませます。
・部屋に上がるように強く進められたら、それに従って下さい。
・祝い酒は進められたら、形だけでも受けて下さい。
・お歳暮を送っているところには「手土産」は基本的には不要です。気になるようでしたら、相手の好みに応じて持参して下さい。また、お歳暮を送ってない所には、お歳暮と同程度の「手土産」を持参して下さい。いずれの場合も表書きは「御年賀」がいいでしょう。
・先方が留守のようでしたら、名刺の右肩に「謹賀新年」等の賀詞と訪問日時を記入し、郵便受け等に入れて下さい。
ちなみに「名刺」の起源は、昔中国で相手の家に訪問した際、相手が留守だった時に、訪問のしるしとして、自分の名前を紙に書き、それを扉に刺して帰ったことに由来します。
「名」前の紙(もしくは薄い竹)を「刺」したから、「名刺」になったわけです。
・服装は一応正装(スーツ・訪問着など)がお勧めです。
・訪問した時の挨拶はキチンとして下さい。
●迎える側のマナー
・予約なしで来られる時も多々あります。一応予定しておいて下さい。但し、そのような性格の訪問ですから、無理にお客様を部屋に上げる必要は有りません。相手次第です。
・部屋に通したら、「祝いの酒」でもてなすのが基本ですが、相手の好みを聞くのも良いと思います。
・家の住人を訪問客に紹介する時には、年始の挨拶がすんでからです。
・もてなしをしても、長くひきとめないのが基本です。
・お年賀を頂いた際の「お返し」は、基本的には不要です。
・お見送りは外に出て、丁寧にして下さい。
・訪問客も正装で来ますので、迎える側もそれにふさわしい服装が望ましいです。
最近は「初売り」も元旦から始められ、商いの方はずいぶん元気がいいようですが、それに比べ「年始回り」は随分少なくなった気がします。確かに年賀状でことが済むと言えばそうかもしれませんが、お世話になっている人に、新年早々に伺い、顔と顔を合わせて行う挨拶には、また格別なものが有り、「福袋」には代えがたい大きな意義が有ると思います。また、温かい絆づくりにも効果抜群です。