マナーうんちく話520≪電車内でお化粧するの、どう思う?≫
【冠婚葬祭の知識とマナー】 宗教の場でよく使用される数え年の意味とは?
冠婚葬祭時には、今でも「数え年(かぞえどし)」がよく使用されますが、そこには現代人に、ほとんど知られていない大切な意味が有ります。
年齢の数え方には、「満年齢」と「数え年」が有ります、違いを簡単に解説しておきます。
○満年齢⇒生まれた年を0歳として数え、以降誕生日を迎えた時に1歳を追加します。
○数え年⇒生まれた年を1歳として数え、以降元旦を迎えた時に1歳を追加します。
※12月31日に生まれた場合、満年齢ですと、あくる日の元旦ではまだ0歳です。しかし、数え年ですと、12月31日に生まれた時点ですでに1歳で、1日過ぎただけでも元旦になりますので、ここで1歳加算され、2歳になります。
日本では昔から数え年が使われていましたが、明治の中ごろに「年齢計算に関する法律」ができ、満年齢が推奨されましたが、依然として数え年が使われ続けており、改めて昭和24年に、「年齢のとなえ方に関する法律」が施行され現在に至っています。
国際化に対応すると共に、正確な出生届け等を促進するという狙いがあったのでしょうね。
しかし、いまでも冠婚葬祭に関する儀式の場では生き続けているケースも多々あります。
例えば、前回取り上げた「厄払い」を始め、享年、占い、節分の時食べる福豆の数等が挙げられます。また「753」「長寿の祝い」等は、数え年でも満年齢でも、どちらで祝っても良いとされています。
では、なぜ、このように儀式や宗教の場において数え年が使用されているかと言えば、「数え年」とは、早い話「神様に感謝の気持ちを表す年齢の数え方」だからです。
元旦に年神様をお迎えするわけですが、その年神様から皆ありがたく一つずつ年を頂くわけです。「私は、もう十分年を頂いたから、年の代わりにお金を頂いた方が嬉しい」と思う人もおられると思いますが、そうはいきません。
元旦にいただく「お年玉」とは、実は「年の魂」のことです。
すなわち、「数え年」=「年の魂」の数え方なのです。
また仏教などでは、子どもがお母さんの胎内に宿っている時から、「命」として年齢に加えますので、いまでも宗教の世界では数え年が使われていると思います。
「満年齢」と「数え年」。
その数え方は大きく異なり、時としてややこしい場合もあり、全て満年齢で統一した方がいいという考え方もありますが、「子どもが、お母さんの胎内にいる時から、すでに人として命が尊ばれているとした年齢の数え方」や、「元旦に分け隔てなく、皆一様に、年神様からありがたく年を頂く」という文化は、簡単に捨てがたい、とても大切な意味があるように思えてなりません。
ただ、このような日本人が抱いてきた素晴らしい考え方を、知識として理解できてなかったら、誰しも、満年齢と数え年の両方を使用することに、反感を抱くと思います。
日本人は世界に誇る歴史や文化を沢山有している伝統ある国です。
礼儀・作法しかりです。
家庭や学校で大人がしっかり子どもに教えてあげたいものです。