マナーうんちく話535≪五風十雨≫
【冠婚葬祭の知識とマナー36】 「753」に秘められた真実とは?
神社で美しくに着飾った親子の微笑ましい風景が見られる季節ですね。
毎年のことながら、成人式や753の光景は、平和で豊かな日本を象徴しているようです。
只今「冠婚葬祭シリーズ」を連載中ですが、「753」は、子どもの「冠」の祝い事のうちでは最高に華やかなもので、公家や武家階級の風習に由来しています。
ところで、なぜ3歳、5歳、7歳の子どもが対象になるのでしょうか?
4歳、6歳、8歳ではダメなのでしょうか?
今回はそんな素朴な疑問についてのお話ですが、今までこのコラム欄でお話ししてきた中に多くのヒントが存在します。
結論は、陰陽の考え方では奇数がお目出度い数字なので、あえて「753」の奇数の年齢において、儀式を執り行うわけです。
そうなると、「重陽の節句のコラム」では、奇数のうち最も目出度い数字は「9」だと説明しましたが、その「9」がないのはなぜ?という疑問が生じます。
その理由は、当時は平均寿命が非常に短く、子どもは「7歳」までとされており、「9歳」は大人として扱われていたという説から納得できます。
10月の末に地球上の人口が70億人に達しました。
日本は少子高齢社会で人口減の国になっていますが、地球全体ではすごい勢いで人口が増加しています。そしてその背景には、子どもの死亡率が大幅に改善されてきているという事実が有るようです。言葉を換えると今まで低開発国では、多くの子どもが飢餓や病気で命を落としていたわけです。
日本でも、753の儀式が誕生した背景には、子どもの死亡率の高さが有ります。
3歳から4歳になって、初めて今の戸籍に当たる人別長に登録されたわけです。
栄養状態も悪く、医療技術・制度も確立されてないため、子どもを無事に育てるには大変な苦労を要したわけですね。そしてその不足分を目に見えない神様に委ねていたわけです。だから、子どもが成長の節目を迎えることを大変喜び、神に感謝し祈るために、盛大な儀式を執り行いました。
ところで、「753」は「数え年」で行っていましたが、最近では「満年令」で行う人も増えてきました。いずれにせよ、男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳の年に行うのが一般的です。
また、「753」と言えば「千歳飴」になるわけですが、これはすでに江戸時代頃から販売されていたようです。紅白の餅に、お目出度い絵柄を書いた長い飴のことです。
その飴がなぜ長いのか?と言えば「寿命が長く伸びるよう縁起をかついだ」からです。
平賀源内が商売繁盛のため土用の鰻を考案したように、当時の商魂たくましい江戸商人が、売上アップの戦略の一環として製造販売したという説が有力です。
現代のように、医療技術が進歩し、子どもが健やかに育つのが当たり前のような時代でも、子どもの成長に縁起を担ぎたくなる親心は、昔も今も変わりませんね。