マナーうんちく話483≪現代の上座と下座②「和室編」≫
【冠婚葬祭の知識とマナー18】 贈り物を包むということ
日本は世界的に物の豊かな国ですから、贈り物をする際に、あれこれ迷うことが多々あります。贈る目的や相手により様々な選択肢が有りますね。
前述したように、元々農耕民族であった日本人は、神様に豊作を祈願し、お供えをしたのが贈答の始まりなのですが、当時は白い紙で包んだり、覆ったりしてさし上げていました。
理由は、白い紙は、非常に高価な物で、贈る側のケガレを清める効果があったからです。従って、このような白い紙で贈り物を包むということは、相手のことを非常に敬っているということなのです。
今は多様な包み方が有りますが、贈答品を包むということは、ただ見かけを美しくするためばかりではなく、「思いやりの文化」だとご理解いただければ嬉しいです。
今回は、贈り物の包み方の解説です。
贈り物の包み方には、「慶事包み」と「弔事包み」が有ります。ショップやデパート等で贈答品を包んでいただく時は、贈る目的をキチンと述べて下さい。
さらに、熨斗紙の包み方には、「内のし」と「外のし」が有ります。
●内のし
贈り物に直接、のし紙をかけて、包装紙で包むものです。
どちらかといえば、「内祝い」等のように、贈る気持ちをやや控えめに表現する際にお勧めです。「中のし」ともいいます。
●外のし
包装紙の上から、のし紙をかけます。贈る気持ちを強く表現する際にお勧めです。また相手が、同時に色々な人から贈り物を頂く可能性が高い時等は、外のしにしておけば、はっきりとわかっていただけますね。「上のし」ともいいます。
●かけ紙
ハム、鰹節、魚などを贈る時に、「のし」が印刷されていない「かけ紙」を使用します。
●ふろしき
贈り物を手渡す時には「ふろしき」に包んで持参されるのがお勧めです。特に改まった訪問の時等には、ふろしきは大きなインパクトになります。なぜなら、ふろしきに包んで持参することは、「あなたに差し上げる贈り物が道中汚れることのないように、細心の注意を払って持参いたしました」という意味だからです。
但し、このコラムで既に取り上げましたが、贈り物を渡すタイミングや渡し方も、併せて理解する必要があります。
なにかと「ココロ」の大切さが叫ばれている今だからこそ、「包み方」を通じ、相手に対する思いやりの気持ちを上手に表現したいものです。